女優の杉本彩(56)が17日放送のNHK・Eテレ「ハートネットTV」(月~水曜後8・00)に出演。経済的な困窮から家族が崩壊、中学3年の時には自ら命を絶とうとする行動もしたことを明かした。
京都の祇園で誕生した杉本は、服飾関係の仕事をする両親、妹、祖母と5人暮らしだったが、中学生の頃に父親の友人が借金を抱えたまま失踪。連帯保証人となっていた父は、多額の借金を背負うことになり、自宅を明け渡さなければならなくなったという。
高校受験を控えていたが、進学費用もままならなくなり、さらに杉本にとってつらかったのが、日々激しくなる両親のケンカだったという。だが、杉本は「やめて!って叫んで止めるタイプではなくて、殻に閉じこもって、とにかくそのケンカが終わるのを待つ…自分の中でなかったことにしているというような、本音や気持ちを吐露しない子供でした。できなかった、というのがあると思います。やってしまうと、自分の心が崩壊してしそうだし、家族全部が崩壊しちゃうような、そいういう思いだったような気がします」と振り返った。
だが、15歳の冬にとうとう自分の命を絶とうとする行動に。「この現状から逃げ出したいという思い。消えてなくなってしまいたい。手段としては、一つ間違うと命を落としてしまう、衝動的な行動を取った。その時にノートにたくさん遺書のような文章を書いたんですけど、1つぼんやりと覚えているのが、自分がいかに無力かということを書いた」と語った。その時に、杉本を発見した母が最初に連絡を取ったのは、父ではなく、母の新しい恋人だったことに傷つき、病院に連れて行こうとする母の手をふりほどいて「私は裸足で家を飛び出し、血を流したまま雪の中を半狂乱で走り回った」という壮絶な体験も明かした。
その後、高校入学を前に、着物のモデルのアルバイトを始め、高校を中退。19歳で水着のキャンペーンモデルとして本格的芸能界デビューをした。やめずに続けたのは、芸能界というところが、生活の糧を得られる唯一の場所だったからという杉本は「どちらかというと、芸能界に対しては抵抗感があった。人に顔を知られていくことに恐怖心があった。もともと凄い人見知りで」と語りながらも「矛盾を抱えながら成功しなければならないという思いで、忍耐強く。どんな状態であってもプロ意識で臨んでいたことは確かですね」と吐露。「本当にいろんなことを乗り越えてきて、今があるんだなあと。よく乗り越えてきたなあと、私が自分に声を掛けたくなる心境です」とほほ笑んだ。