阪神・才木浩人投手(26)が17日、「足トレ」に取り組んでいることを明かした。来季は踏み出す左足を「かかと」から「爪先着地」に変える新フォームを計画中。つま先で着地できれば、より力をボールに伝えられることができ、現在は足の指のトレーニングや足裏の感覚を研ぎ澄ますことに時間を割いている。ドジャース・山本、ロッテ・佐々木らがすでに体現している「超一流フォーム」で投手の主要タイトル4つを含む8冠を目指す。
才木は、早くも来季へ動き出していた。今オフ、ウエートトレーニングなどと並行して欠かせないのが「足トレ」だという。
「今は足のトレーニングをめっちゃしていますね。このオフは足を重点的にやろうと」
その心は…12月某日、今季の投球映像を見返しながら本紙に意図を明かした。「結構、フォームは変えようかなと思っていますね。いろいろ改善点がある」。何度も繰り返し、映像を再生していたのは、踏み出す左足の着地の瞬間だった。
「自分はかかとからいくんで膝が前に出て力が抜ける。力を逃がさないためには、爪先から入る方が絶対に良いんです」
思い描く新フォームのポイントは「爪先着地」だ。今季までの「かかと着地」の場合、かかと→爪先の順で接地するため左膝が少なからず前方に動いてしまい、その瞬間に上半身と軸足(右足)から体重移動してきた力が外部へ逃げる。「爪先着地」なら接地の時点で左膝が突っ張って前方に動くことはなくなり、力のロスがなく、よりボールに力が伝わる。
見比べていたのは、今季はドジャースで活躍した同学年の山本由伸の映像。「山本投手は爪先ですよね。自分はできてないだけで他の投手もできている人はいる」と分析するようにカブス・今永やロッテ・佐々木ら超一流のエース級は体現できている。ただ、向上心の塊である右腕にとって“できないこと”は“伸びしろ”に他ならない。すでに外部の施設で足首の柔軟性や足の指先のトレーニングを開始。「苦手なんですよ…」と自宅でも爪先立ちしてバランスを取る時間もつくり課題克服へ余念がない。
「今は脳も、かかとで着地することを覚えてしまっているので、そこから変えていく。末端ってどうしても感覚が良くないので、足先の血流とかが関係ある。マッサージ器を足裏に当てたりして血流を良くして感覚を出すようにしてます」
来季へ「獲れるものは全部」と投手の主要タイトル4つに加えMVP、沢村賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞の8冠を目指すことを宣言している。「(爪先着地できれば)直球、変化球、全部良くなると思う。自分の中では“まだ伸びしろあるやん”と思ってやってます」。さらなる高みへ新フォームで着地を決める。 (遠藤 礼)
▽才木の「8冠」宣言 12月8日、甲子園球場で行われた藤井聡太七冠VS羽生善治九段の記念対局のトークショーに出演。趣味が将棋の才木は来季、先の流れを読む“将棋脳”を駆使することを宣言。昨年10月に棋界の全8冠を独占した藤井王将=現7冠=にあやかり、来季は「全部、獲れるやつは獲りたいな」と投手の主要4タイトルの最多勝、最多奪三振、最優秀防御率、最高勝率に加えてMVP、沢村賞、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を含む「8冠」獲りへ意欲を口にした。