MLBが投手のケガについて1年間にわたって調査、その結果を公表した。球速の上昇、球の変化量を重視する傾向、目一杯力を込めての投球が多いことが、ケガ急増の主な原因であると明らかになった。問題に対処するため、ルール変更を検討することが推奨されている。AP通信が報じた。
17日(日本時間18日)に公開された62ページの報告書によれば、これらの傾向は高校や少年野球にも広がっている。一方で、ピッチクロック(投球時間制限)が原因であるという証拠はないとされた。報告書には26のデータ表が添付され、MLB、大学野球、独立リーグのコーチ、国際的なトレーナーを含む200人以上の関係者へのインタビューを基に作成した。インタビュー対象には、選手、球団のフロント幹部、整形外科医、アスレティックトレーナー、理学療法士、生化学者も含まれた。
球速の上昇についてはMLBの直球の平均球速は、2008年の91.3mphから今年の94.2mphに上昇した。スライダーは82.8mphから84.6mph、カーブは75.7mphから79.5mph、チェンジアップは81.7mphから85.5mphへと上昇した。一方、直球の使用率は60%から48%に減少した。投手の肘のケガによる負傷者リスト入りの日数は、2005年の3940日から24年の12185日と20年間で3倍以上に増加した。肩のケガによる日数も2634日から5445日に増加している。先発投手が5イニング以上を投げる確率はMLBでは2005年の84%から現在では70%に減少し、マイナーリーグでは68.9%から36.8%に減った。
専門家たちは、MLBが投手の健康と耐久性の価値を高めるべく、ルール変更を検討するよう推奨している。先発投手が試合の後半まで投げられるようエネルギーを温存することを奨励または義務付ける。具体的には投手の登録人数や、投手を交代させる回数や頻度を変更する。MLBは2021年から2年間、アトランティックリーグで「ダブルフックDH(指名打者)」制度を試験的に導入した。この制度では、先発投手が5回以上を投げ切れなかった場合、チームはDHを失ってしまう。また、MLBは2022年6月20日にロースター上の投手数の上限を14人から13人に引き下げた。さらに、投手の負傷者リスト(IL)入りの最短期間は、2017年から10日間に短縮されていたが、2022年に15日間に戻された。