明大野球部の監督を5年間務め、今季で勇退した田中武宏氏(63)の慰労会が17日夜、駿台倶楽部(野球部OB会)主催で開催された。
2020年に監督に就任し、コロナ禍の中スタートを切った。1試合総当たり、同年秋から10試合、ポイント制で3シーズン行われたが、3年目となる22年から勝ち点制に戻ると“粘りの明治”の本領を発揮。チームとしては戦後初となる3連覇、明治神宮野球大会も制し秋の日本一も達成した。
挨拶に立った田中氏は「3連覇や日本一など楽しい経験をさせてもらったが、一番印象に残るのがコロナです。野球どころではなかった。私もコロナになり10日間隔離されましたが、いろんな人の協力で最小限に抑えられました」と当時を振り返った。
東京六大学で部員全員(130人)が寮生活を送るのは明大だけ。1人がコロナになれば全員が感染するおそれがあり細心の注意を払って奔走した。5年間の監督生活の中で上田(ロッテ)宗山(楽天)らをプロに送り出し、今季は女子マネ1人を含む13人が社会人で野球を継続する。
田中監督時代に主将を務めたヤクルトの丸山和郁も駆けつけ、花束とヤクルトのユニホームを贈呈、田中氏を喜ばせた。丸山は「主将だった4年のとき、監督を胴上げしたかったけどできなかった。それが心残りです。ヤクルトで活躍する姿を見てもらいたいです」と話し拍手を浴びた。
監督時代は1限目の授業に出る選手の練習が朝の5時半から始まるため毎日4時過ぎには起きていたという。「(退任しても)早起きのクセがでたけど、今はゆっくり寝ています」と自宅のある神戸で疲れを癒やす日々。1月1日付で就任する戸塚俊美新監督は「助監督として5年間、采配や選手起用を勉強させてもらった。神戸に戻っても野球部の支援をお願いしたい」と感謝しきりだった。
<田中監督のリーグ戦成績>20年春は1勝4敗の5位に終わったが、残り9シーズンはすべてAクラス(3位以上)。3連覇、明治神宮大会制覇と秋の日本一にも輝いた。今秋は早大との優勝決定戦に敗れ2位で終戦した。リーグ戦110試合、72勝27敗11分の勝率・727だった。