読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄(わたなべ・つねお)さんが、19日午前2時、肺炎のため東京都の病院で死去した。98歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は長男睦(むつみ)さん。読売新聞グループ本社が発表した。
プロ野球・巨人のオーナー、株式会社読売ジャイアンツ取締役最高顧問などを歴任し、日本球界の発展に寄与。野球界のみならず、サッカー、角界にも大きな影響を与えた渡辺氏の言葉を振り返る。
【2005年6月に球団会長として復帰】
▼同年10月5日(原監督の就任が発表され)原は監督を辞めても巨人の社員だよ。オレから見れば人事異動だ。
▼10年9月30日(TBSの横浜身売り報道を受け)(01年に)かなり無理してベイスターズを大洋からTBSに替えた。TBSの事情もあるし、今の不況ではしようがないな。野球協約の精神にのっとってまともな実業家、企業が買い取ってくれれば仕方ない。
【11年11月11日に巨人の清武英利球団代表兼GMが緊急会見で、渡辺球団会長がヘッドコーチ人事で既定路線とは違う江川卓氏を推したことで「プロ野球の私物化」と糾弾。企業コンプライアンスの観点から同会長を内部告発した】
▼同11月4日(巨人の組閣について)何の報告も聞いてない。俺に報告なしに勝手にコーチ人事をいじくるってのはそんなのあり得るのかね。俺は知らん。
▼同11月12日(文書で反論)事実誤認、表現の不当、許されざる越権行為及び私に対する名誉毀損(きそん)が多々ある。清武君に謝罪を求めます。本人の反省次第であり、現時点ではただちに処分を求めるつもりはありません。(同18日に解任)
▼同11月21日(清武氏が法廷闘争の用意があることに)こっちが法廷に持って行くよ。10人、最高級弁護士を用意している。法廷ならわが方の最も得意とするところだ。俺は法廷闘争で負けたことがない。
▼12年3月19日(朝日新聞が「巨人、6選手に高額契約金」の見出しで1面などで報道したことに)内部文書は秘密文書。これは窃盗された文書だ。つまり泥棒だな。(清武氏の関与については)他に誰がいるのかい。全部、調べたよ。
▼同8月26日(ラジオ番組に出演し松井秀喜やイチローについて言及)(松井は)選手としては限界にきちゃってる。コーチとして指導ができるかどうか。(イチローは)頭のいい男。彼ほどの人物は野球界にはそうはいない。
▼13年1月7日(12年限りで現役を引退した松井秀喜氏について)今、原君の後を継ぐっていうのがいないんだよ。松井君は最適だよね、こちらから見れば。松井君の方がどう考えるかだよ。帰ってきたら会うから。会って頼む。
▼同3月22日(巨人の激励会で)(今年に入り)足の指(の骨)を2本折って、しばらく入院している間に腸のポリープを2つ取った。86歳の老人がケガをみんな背負い込んだから、選手はもうケガはせず、元気はつらつとできるに違いない。
▼同7月1日(統一球問題で次期コミッショナーについて王貞治氏について言及)人格、識見、人柄。これ以上の人はいない。野球界が奇麗になるんじゃないか。野球界を奇麗に、極めて合理的なものにして、我が世界のヒーローを迎える。
▼14年6月5日(清武氏の解任をめぐる訴訟で証人として東京地裁の法廷に立ち)(清武氏には)電話で説得し、僕にねこなで声で“ありがとうございました。また電話差し上げます”って言っていた。やめてくれるのだと思っていた。
▼16年7月7日(高橋監督について)由伸(高橋監督)の責任じゃないからな。フロントだよ。補強してないんだから。こんな補強せずに、今の陣容で勝てったって無理だよ。無表情だと言うけど、感性豊かだ。長嶋も王も、ボロボロ(のチーム)になったのを引き継いだときに負けてるじゃねえか。
▼18年3月26日(燦燦会総会に出席し高橋監督について)まだ若い。長嶋茂雄さんは15年やった。10年以上やるつもりで今年から勝ち始めて10連勝、優勝10回くらい。長嶋さんの記録を塗り替えてくれると期待します。
▼同8月21日(同月中旬から頸椎(けいつい)骨折のため入院していることが分かり広報部を通じてコメント)自宅で転倒して頸椎の一部を骨折し、入院しています。幸い脊髄に損傷はなく、すでにリハビリを始めています。