【インタビュー】女優・米倉涼子(49)主演の映画「劇場版ドクターX」が6日に公開され、好調なスタートを切った。12年続いたテレビ朝日の人気ドラマシリーズの完結編。天才的な腕を持ちながら組織に属さず、病院を渡り歩く主人公・大門未知子の誕生秘話が初めて明かされるほか、未知子が過去最大の危機に挑む。第2シリーズから大門の敵役を演じて人気作を支え、今作の公開も楽しみにしていた西田敏行さんが10月に76歳で死去。テレビ朝日取締役でエグゼクティブプロデューサーの内山聖子(さとこ)氏に西田さんの思い出を聞いた。(鈴木 美香)
「われわれ“ドクターX”チームとしては映画は初めて。人気があった作品とはいえ、ひよっこで手探りでした。完成したものの不安もあったところに西田さんが声を掛けてくれて…」
2013年の第2シリーズから出演し、大門を目の敵にする病院の重鎮・蛭間重勝役で人気シリーズを支えてきた西田さん。レベルの高いアドリブで作品にさらなる面白さを生み出したり、撮影終了後にはスタッフ、出演者を食事に誘うなどして現場を引っ張ていた。クランクアップ後、そんな西田さんの言葉が内山氏の胸に響いた。
「“素晴らしい映画だ”と言ってくれました。ドクターXでは12年間、何度も打ち上げや飲み会の席があったんですけど、私は初めて、その言葉で泣いてしまって。映画人としても大スターの方に“立派な映画だよ”と言っていた不安もあったんだと思います。いろんな思いがあふれて号泣してしまいました」
西田さんはスターにしてムードメーカーだった。「出演者の方々に“金言”をまぶしていた姿をよく見ていました。“セリフは覚えちゃだめだ。食べろ!”と“生っぽい言葉”でいうように出演者の皆さんに伝えていて、その結果、すごくライブ感が出てすごいなと思っていました」と内山氏は振り返る。
「今読むとドキっとしますが亡くなる数日前に“本当にこの作品に出してもらえて、蛭間重勝という役をもらえてありがとう。いろいろな役を演じてきたけれど、僕の生涯の中で好きな役の五本の指に入る”というようなお礼のメールをいただいていました。この後に“これからの仕事もよろしくね”という内容もあったので、そのときは何とも感じなかったんですけど」
11年間、シリーズを支えてくれた西田さん。内山氏は「ベストワンではなく、ベスト5とおっしゃったところにリアリティーがありました」と振り返り「西田さんの“素晴らしい映画だ”のお言葉で、これで皆さんに見ていただけるという自信もいただきました。天国の西田さんへの感謝を胸に公開を迎えていた。