俳優の滝藤賢一(48)と映画「正欲」などで知られる女優の東野絢香(27)が21日に放送されるNHK FMの特集オーディオドラマ「うつくしい靴」(後10・00~11・00)でダブル主演を務める。ともにラジオドラマ初出演。俳優の名村辰(27)も出演。滝藤と名村は今年度前期のNHK連続テレビ小説「虎に翼」に続く共演となる。
今年3月にデビュー作「風がやむまでは」がNHK FMで放送された新鋭・本山航大氏が書き下ろしたオリジナル脚本。近年、ブームとなると同時に、転売や偽造品の横行が尽きない「スニーカー」を題材に、大量生産・大量消費の時代におけるモノ作りの意味を再び問い掛けるサスペンスフルなヒューマンドラマ。本物とは、美しさとは――。「虎に翼」などの作曲家・森優太氏が音楽を担当した。
「虎に翼」で滝藤は東京家庭裁判所設立のリーダー・多岐川幸四郎役、名村は部下の一人・小橋浩之役を演じた。
スニーカーショップの店主・柊大和(滝藤賢一)は、灰山侑(名村辰)が売りに来た靴に心を奪われる。20年以上前に市場に出回ったものの、訳あってすぐに販売中止となった幻のスニーカー「ワッツ」。一見、本物に見えるその靴には、スニーカーとしては少し不自然なほどの気品があった。柊は偽物の可能性を直感し、店として買い取るわけにはいかず、110万円で自腹購入してしまう。一方、革靴職人の冬月歩稀(東野絢香)は師匠の祖父を亡くしたばかり。オーダーメイドの革靴店を継ぐも、祖父が1000万円の借金を残したことを知り、途方に暮れる。そんな矢先、学生時代の友人がスニーカーの転売で稼いでいることを耳にし…。
▼滝藤賢一 初めてのオーディオドラマでしたので、新人のつもりでやらせていただきました。声だけで表現することは、未知の世界で不安でしたが、監督はじめスタッフの皆さま、そして、東野さんはじめ共演者の皆さまから刺激を受けまくり、楽しく臨ませていただきました。自分のやりたいこと、夢と真剣に向き合っている人なら、誰もが直面するような台詞やシーンの連続です。私も脚本にいたく共感し、唸りました。まさに私も真っただ中です。この苦しさ、葛藤は自分だけではないのだと知り、心が少し軽くなりました。少しでも多くの方に『うつくしい靴』を聴いていただきたい。今はそんな思いであります。
▼東野絢香 人生で初めてラジオドラマに参加させていただきました。家を出た時と同じ着慣れた服に包まれたまま収録が始まり、目の前では滝藤さんがたっぷりの包容力でお芝居をしてくださって、手元には素敵な台本があって、休憩時間にはお世話になった人たちが様子を見に来てくれたりして、何だかたくさんのものに守られてるような、特別な時間でした。皆さまとの距離が近い、いい作品になっていると思います。是非、たくさんの方に聴いてほしいです。
▼名村辰 少し前に、とあるイベントに行きました。視覚障害をお持ちの方の案内のもと、完全に真っ暗な空間を冒険するというものです。そこで、自分が日常いかに目からの情報に頼って生活しているかということを実感しました。ラジオドラマは聴覚のみに訴えて想像力を刺激する、とても面白いエンタメだと思います。今回は「美しさとは?」というテーマの物語に、俳優として共感する部分がとても多く、尊敬する役者の方々とこの作品に挑めた時間がとても幸せでした。是非、目を閉じ、耳を傾け、このドラマの世界をお楽しみいただけたら、うれしいです!