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感染症悪化で右腕切断の佐野慈紀さん 学童軟式野球全国大会で始球式 左腕からピッカリ投法でツーバン投球

スポニチアネックス 2024年12月21日 9時18分

 今年5月に感染症の悪化のため、右腕切断手術を受けた元プロ野球選手の佐野慈紀さん(56)が21日、神宮球場で行われた学童野球全国大会の始球式に登場。近鉄、中日などで活躍した現役当時とは異なる「左腕」からお馴染みの「ピッカリ投法」を披露した。

 佐野さん自らがシニアディレクターを務める学童軟式野球「くら寿司トーナメント2024 第18thポップアスリートカップ」。ファイナルトーナメントに集結した全国14チームの小学生を前に“復活”のマウンドに立った。

 優勝旗返還、選手宣誓など開会式が行われた後に登場。投球前には「僕は腕を無くしましたけど、落ち込むことなく色々なことにチャレンジしていきたいと思っています。今日この場で左投げで始球式をします。その姿をみなさんへのエールという形で送りたいと思います。選手のみなさん、頑張ってください」とあいさつした。

 車椅子でマウンド付近に向かうと、マウンドの手前に立ち、グラブは右脇に挟んで左腕で帽子を落とすお馴染みの「ピッカリ投法」を披露。左腕からの投球はツーバウンドしたものの、しっかりと捕手のミットに収まり、選手や観客からは大きな拍手が沸き起こった。

 新調した金色のグラブには「かがや毛」と刺しゅう。投球を終えた佐野さんは「ちゃんと帽子飛んでた?(自己採点は)マイナス10点かな?」とコメント。観客、選手たちから大きな拍手を送られ、満面の笑みを見せていた。

 大会パンフレットでは、始球式に向けて「今年も大会が開催されることを大変うれしく思っております。毎年この大会の学童たちのハツラツとした姿を見ることが大きな楽しみの一つでもあります。その大切な大会の始球式をありがたいことに仰せつかりました。みなさまの前で思い切り振りかぶり投げ込みたいと思います」と意気込んでいた。

 また、右腕を切断したことにも言及。「私は病気の影響で右腕を失うこととなりました。利き腕でもある右腕、たくさん投げてきた右腕を失うことは大変なショックでもあります。しかしながら落ち込んでも仕方がない。生きるために前を向くために思い浮かんだのが左で投げることでした。もちろん病気からは逃れません。でもどんな状況になってもチャレンジすることで自分自身にもたくさんの可能性が生まれてきます。チャレンジすること、これは私が大好きな野球から教わった大きな財産です。下を向くことなくこれからもチャレンジすることはやめません。諦めたらそれで終わりならばチャレンジあるのみです」と自身の経験を交えながら子供たちにチャレンジすることの重要性を訴えた。

 同大会は全国で1590チームが参加。今月21日から2日間の予定で、勝ち上がった14チームによるファイナルトーナメントを行い、日本一を決める。

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