◇ラグビー全国大学選手権準々決勝 早大53―10近大(2024年12月21日 東京・秩父宮ラグビー場)
関東対抗戦1位で5大会ぶりの優勝を目指す早大は、関西3位の近大を53―10で破り、4強入りを決めた。来年1月2日に東京・国立競技で行われる準決勝では、あす22日に行われる大東大―京産大戦の勝者と対戦する。
100回目の早明戦以来、3週間ぶりの実戦となった早大は戦いぶりに拙さがみられたからこそ、逆に強さが際立った。前半は強烈な向かい風が吹く中で、ロングキッカーのSO服部亮太(1年)がこれまでの戦い方と同様にキックを多用。ボールは風に押し戻され、ダイレクトタッチがあったのにも関わらず、開始から3連続トライで先制パンチを浴びせた。
大田尾竜彦監督も「前半は風上の戦い方。FWはきつかったと思う。それでも崩れない。そこは地力」と大きくうなずく。プランがはまらなくても完勝できた要因は、前後半ともに1トライずつに抑えたディフェンスのたまもの。フッカー佐藤健次主将(4年)は「(SH細矢)聖樹がマネジメントしてくれる。僕らは声(指示)を聞いて整備すればいい」とディフェンスリーダーに感謝した。
前半は関西リーグ屈指のスクラムを誇る近大に押され気味だったが、後半には修正。最前列で組み続けた佐藤主将は「(押し合う前から)ほぼ寄りかかってくるくらいの圧力があった。関東(のチーム)にはない」と対応に手間取った様子を明かしたが、後半はペナルティーを取り返す場面もあった。終了間際にはゴール前のペナルティーで2度、スクラムを選択。「やられっぱなしでは嫌だと。意地ですね」といたずらっぽく笑った。
この日は日本代表のFB矢崎由高(2年)がメンバーを外れたが、蓄積疲労を考慮したもので、代わって先発した植木太一(1年)が前半にトライを奪う活躍。2浪の末に入学し、役割を果たした苦労人に大田尾かんとくも「全体(のコンディション)を考えると植木の方が良かった。トライも取ってくれた」と目を細めた。