◇ラグビーリーグワン第1節 埼玉33-12東京SG(2024年12月21日 味スタ)
4季目のシーズンが開幕し、昨季準優勝の埼玉は同3位の東京SGを33―12で下し、白星発進した。SO山沢京平(26)とFB山沢拓也(30)の兄弟が息の合ったプレーで躍動。昨季限りで退団した松田力也に代わる新司令塔がチームを勝利に導いた。昨季8位の静岡は同5位の神戸に15―13で、同11位の三重は同10位のBR東京に23―21で、それぞれ劇的な逆転で勝利した。
山沢兄弟のコンビネーションが埼玉に今季初得点をもたらした。前半11分、弟の京平からパスを受けた兄の拓也がゴールライン目前まで走り込んで相手の反則を誘発。京平がペナルティーゴールを難なく決めて先制した。
兄がFB、弟がSOで同時先発するのは初めて。お互い逆のポジションは経験あるが、拓也がケガ明けのため京平が司令塔に抜てきされた。「京平には京平の良さがある。10番のサポートを大事にしたい」と試合前に話していた兄に対して「ここ(埼玉)に来た目的は兄貴とプレーするため」と絶大な信頼を寄せている弟。2人の“ダブル司令塔”が多彩な攻撃をけん引した。
京平の自己採点はかなり厳しく「15点」。好機でノックオンを犯し、コンバージョンキックを4本中3本外すなどミスもあった。「練習では良い感覚で蹴れていたけど入らなかった。大反省ですね」。大役を担う分、緊張も大きかった。それでもロビー・ディーンズ監督からは「パフォーマンスにとても満足している。良い教訓もあったと思う」と期待を込めながらの高評価を受けた。
チームは2季連続でレギュラーシーズン1位通過したが、プレーオフ決勝で涙をのんでいる。絶対的SO松田のトヨタ移籍やフッカー堀江の引退で主軸が抜けた今季だが、主将のフッカー坂手やこの日2トライを決めたWTB長田ら多くの日本代表も健在だ。“新生・ワイルドナイツ”が、3季ぶり王座奪還へ走り出した。
≪稲垣11カ月ぶり復帰 強烈タックル健在!!≫プロップ稲垣が11カ月ぶりの復帰を果たした。昨季1月13日の相模原戦を最後に負傷で公式戦から遠ざかっており、2月末には手術。自身初の長期離脱を経験し「こうしてフィールドに立つのは素晴らしいこと。立ち続けたい思いはある」と感慨を込めた。この日は手術明けの不安を感じさせない鋭いタックルを披露するなど後半7分までプレー。「少しずつ自分が成長できているのも実感できた」と充実感をにじませた。
≪鉄壁守備破れず≫東京SGは持ち味のアグレッシブ・アタッキング・ラグビーが埼玉の鉄壁のディフェンスに阻まれ、フッカー堀越主将は「強みを封じられた」と悔しがった。元日本代表FB松島はケガのためメンバー登録されず、南アフリカ代表WTBコルビは前半23分に負傷交代。2人の次戦以降の出場可否について、今季から就任した小野ヘッドコーチは「楽しみにしてもらいたい」と多くを語らなかった。