◇NTTジャパンラグビーリーグワン1部第1節 BL東京28―21横浜(2024年12月22日 日産スタジアム)
昨季王者のBL東京は同4位の横浜に28―21で逆転勝ちし、リーグ連覇へ白星発進を決めた。前半30分までに0―16と大きなリードを許したが、加入2季目を迎えた元オールブラックスのSOリッチー・モウンガ(30)の獅子奮迅の活躍で鮮やかに逆転。名手は「(大差を)追い掛ける土岐は特別なことではなく、自分たちを信じてプレーすることが大事」と事もなげに言った。
前半4分でFWシャノン・フリゼルが危険なタックルでシンビンとなる苦境。その後も反則を重ねてはショットで3点を加算され、前半30分で0―16とリードを広げられた。それでも「18年に28点差から勝ったことがある」と語る名手は慌てない。引き合いに出したのは18年のスーパーラグビーシーズン。当時所属していた名門クルセーダーズはワラタス戦の前半29分までに0―29と大量リードを許したが、その後5連続トライで31―29の大逆転勝ち。16点差で慌てる必要はなかった。
それまではキックでエリアを獲得する攻撃プランだったが、「長い時間のディフェンスが多かったので、試したみた」と自陣からボールを持つアタックに変更。自慢のFWをシンプルに縦に当てて徐々に相手を消耗させると、前半終了間際にはハーフウェーのラインアウトからボールをつなぎ、最後はFB松永拓朗が反撃のトライ。「松永が最後にトライを取ったのが大事だった。(前半の最後に)後半にやるべきことを全部やった」と逆転勝利へのシナリオを描いた。
後半は5分にフリゼルが、16分に自らトライを奪って逆転。その後一度は同点に追い付かれたが、30分には急きょ先発のCTB真野泰地が決勝トライ。モウンガ自身はコンバージョン全4本をきっちり決め、ディフェンスでもSHファフ・デクラークとロックのマシュー・フィリップのトライを阻止する値千金のタックルを2度も決める活躍。「(トライセービングタックルは)たまたまその位置にいただけ。誰であっても止めていたと思う」と語ったが、得点分を含めて1人で23点分を稼いでみせた。
帰宅時には白いドジャースのキャップをかぶり、「ショーヘイ・オータニとヤマモトに会いたい。会える方法があったら教えてほしい。(来年3月の日本開幕の)チケットが取れそうならお願いします」とアピールしたモウンガ。日本が生んだスーパースターにも興味津々だったラグビー界のスーパースターは、来日2年目で身も心もすっかり日本に溶け込んでいる様子だった。