ラウンド1で令和ロマンを上回ったバッテリィズ。最終決戦でも持ち前のエース(30)のボケっぷりが大爆発したが、王者の完成度に阻まれた。
それでもまったく無名の存在からの2位。エースは「とにかくワクワクしている。爪痕を残す自信はあります」と笑顔で語っていたが、言葉通り深い深い爪痕を残した。
大阪拠点で活躍する漫才師としてのプライドもあった。大阪出身や大阪拠点で活動するコンビが決勝に残るのは年々減り、今年は敗者復活戦から勝ち上がったマユリカを除くと、過去最低の2組。エースは「やっぱり大阪の芸人は仲間という感じ。でも、東京の芸人さんは敵とは言わないけど、負けたくないという気持ちはある」と明確な負けん気を表に出して決勝へ向かった。その東京の漫才コンビ最高峰とも言える令和ロマンをラウンド1では破り、悔しさはあっても一定の満足感もあった。
誰もが緊張する賞レースが、エースは大好き。寺家が代弁する。「エースは客席1人1人の反応を見るのが大好きなんですが、寄席だとぼくたちに興味のない人はつまらさそうに見ている。でも、賞レースだとみんな食い入るように見てくれる。これがエースにはとても気持ちがいいんです」。
誰もが震える決勝、そして最終決戦。それでもじっと客席を見つめて漫才をやりきった。大阪拠点の漫才コンビの優勝は2019年のミルクボーイが最後。その栄冠には届かなかったが、漫才の聖地で鍛えられたプライドは全国に示した。