◇ラグビー全国大学選手権準々決勝 京産大59―12大東文化大(2024年12月22日 三重交通グラウンド)
初の大学日本一を狙う京産大が大東大を59―12で圧倒し、4大会連続の4強入りを決めた。フッカー平野叶苑(かえん、4年=西陵)が2トライを挙げるなど、計9トライの猛攻で関東リーグ戦1部王者を粉砕した。明大は天理大に24―21で競り勝った。来年1月2日の準決勝(国立競技場)で京産大は早大と、明大は4連覇を狙う帝京大と対戦する。
フッカー平野叶は、慣れ親しんだ芝を晴れ舞台に変えた。「ここは僕のラグビーが始まった場所。帰ってこられて幸せです。やってやろうと思っていました」。三重県出身で、今回の舞台となっ試合会場は、小学生の頃から幾度となく立った思い出の場所だ。前半20分、後半4分ともにモールを押し込み、2トライの活躍。家族や友人が見守る前で59得点の猛攻を支えた。
3兄弟の末っ子で、自身が6歳のときに3人同時にラグビーを始めた。仲良しな関係を示すかのように、兄弟そろって西陵、京産大と同じ経歴を歩んでいる。3歳上の次男・叶翔(かなと)は、同大学で主将を務めた憧れの存在だ。4年秋に23季ぶりの関西リーグ優勝に導いた姿を「僕は下の序列にいた。どこか遠い存在でしたね」と思い返す。
目に焼き付いて離れない激闘がある。兄が4年時の大学選手権準決勝で帝京大に30―37の惜敗を演じた一戦だ。強豪に臆せず体を張る兄を、当時1年生だった叶苑はスタンドから見つめていた。「本当に凄かった。ここまでできるのかと驚きました」。同大学は、その一戦から3大会連続で準決勝敗退中。過去10度の準決勝を一度も勝利したことがなく、4強の壁を超えることは、兄の雪辱を果たすことにつながる。
次男・叶翔は、リーグワン三重に所属しており、前日21日に同会場で行われた一戦に途中出場していた。その翌日に弟の勇姿を現地で観戦。「器用な選手ではない。努力したのだろうなと感じました」と目を細めた。
準決勝は、V候補に挙がる早大と対戦する。「お兄ちゃんを超えるということではなく、みんなで準決勝の壁を超えたい」。あまりに重かった決勝の扉をこじ開けるべく、国立へ乗り込む。 (河合 洋介)
◇平野 叶苑(ひらの・かえん)2002年(平14)7月18日生まれ、三重県出身の22歳。6歳の時、四日市ジュニアRFCでラグビーを始める。西陵3年時に冬の花園大会に出場。50メートル走7秒2。1メートル74、98キロ。フッカー。