阪神が来秋のドラフト候補として西条の宇佐美球児投手(17)をリストアップしていることが22日、分かった。虎党で藤川球児監督(44)の大ファンである父が「将来、高校球児として活躍してほしい」と願いを込めて「球児」と命名。身長1メートル81から投げ下ろす威力ある速球を武器とするサウスポーだ。今季限りで15年間の現役生活に幕を閉じた秋山の後輩としても注目される。数多くの名選手を輩出してきた四国が生んだ金の卵に猛虎が熱視線を送る。
愛媛・西条の宇佐美は投球のみならず名前でも注目を集めている。その名は「球児」。虎党で藤川新監督のファンだった父が願いを込めて命名した。決して名前負けしていない本格派左腕。伸びしろも十分な大器を、すでにNPBのスカウトも注目している。
身長1メートル81、86キロと恵まれた体格。ゆっくりと右足を上げ力感のない始動から力強い直球を投げ込む。その姿はメジャー移籍1年目の今季15勝を挙げたカブス・今永のフォームを彷彿(ほうふつ)させる。スピンの利いた直球の回転数はNPB投手の平均値の2300台を計測。決め球のスライダーに加えカウント球で使うスラーブ、スローカーブも巧みに操る。
今夏の愛媛大会でもメンバー入りし、2年生ながら救援登板した。聖カタリナ学園との決勝戦では3番手として4回2/3を投げて4失点。大会直後には右肋骨(ろっこつ)の疲労骨折が判明した。負傷しながらも自己最速143キロを計測するなど存在感を発揮。球団はすでに来秋のドラフト候補としてリストアップしている。
阪神で四国地区を担当する山本宣史スカウトは今秋の愛媛大会中に「伸びしろはある」と評価していた。石井、前川、西純など1軍で活躍する選手を発掘してきた目は本物だ。大化けする可能性についても「体つきもいい。これから球速が上がってくれば」と、さらなる成長に期待を寄せていた。現在は骨折も癒えた2年生左腕は「自分は高卒でプロに行くことが目標。夏までに(最速)150キロを出したい」と鼻息は荒い。
阪神の高卒左腕の入団は22年ドラフト2位の門別が最後だ。今季、ローテーションの一角として活躍した大竹をはじめ高橋や伊藤将が20代後半。20代前半の先発候補に限っては門別、及川のみ。球団としても高卒左腕が補強ポイントでもある。すでに注目を集める「球児2世」が今後、ポテンシャルを開花できれば、一気に上位候補として名を連ねてもおかしくはない。
くしくも今季限りで15年の現役生活に幕を閉じた秋山も西条出身だ。藤川球児の出身地・高知も含め、これまで数多くの名選手を輩出した四国。将来性ある愛媛の球児からも目が離せない。
≪虎党の父が命名≫
◇宇佐美 球児(うさみ・きゅうじ)2007年(平19)6月4日生まれ、愛媛県西条市出身の17歳。小学2年時に大町ソフトボールクラブに入団。中学では西条南中の軟式野球部に所属し3年時に愛媛県選抜入り。西条高では1年夏から背番号「20」でベンチ入り。1メートル81、86キロ。左投げ左打ち。
≪NPB2人目に?≫
○…過去1軍公式戦出場経験のある選手で、名前が「球児」または読みが「きゅうじ」は藤川球児だけ。「球」の字が含まれるのも藤川しかいない。