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「視聴率だけでは測れない」近年ドラマの反響 リアタイ勢が激減「海に眠る…」など一桁も配信好調&高評価

スポニチアネックス 2024年12月23日 9時30分

 「豊作」と言われた秋ドラマが、次々と最終回を迎えた。23日、各作品の視聴率が発表され、柳楽優弥(34)主演のTBS系金曜ドラマ「ライオンの隠れ家」の平均世帯視聴率は8・0%、俳優・神木隆之介(31)主演のTBS系日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」は8・3%(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。現代は配信サービスの隆興などから、メディア視聴環境が多様化し“リアルタイム視聴者”が減少傾向。2作品とも一桁に沈んだが、配信は好調で視聴者や関係者からは「名作」と高評価だ。

 「ライオンの隠れ家」は、柳楽演じる主人公と坂東龍汰演じる自閉スペクトラム症の弟が、佐藤大空(たすく、5)演じる謎の男の子「ライオン」と出会い、ある事件に巻き込まれていくオリジナルのサスペンスで、先の読めないオリジナルストーリーと、豪華キャストの演技が視聴者を惹きつけた。

 「海に眠るダイヤモンド」は、1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、現代の東京を舞台にした70年にわたる愛と友情、そして家族の壮大な物語。「アンナチュラル」(2018年)、「MIU404」(2020年)、現在上映中の映画「ラストマイル」など数々のヒット作を生み出してきた、野木亜紀子×塚原あゆ子×新井順子という強力チームが手掛けた。神木ら豪華キャストの熱演が話題を集め、50年代の長崎・端島を描いた壮大な映像と野木亜紀子氏の緻密な脚本による演出で感動を呼んだ。

 「海に眠る…」最終回は2時間スペシャルで放送されたが、毎年恒例の漫才日本一決定戦「M―1グランプリ2024」決勝が、午後6時30分から10時10分までテレビ朝日系で生放送されたことで“裏かぶり”に。リアルタイム視聴者が分散された一因となった。

 関係者の間で「ドラマ史に残る名作」と大きな話題を集めた2作品だったが、過去作と比較すると視聴率は物足りない印象。だが、近年は生活の多様化や配信サービスの隆興などが影響し、ドラマの評価を視聴率だけではかることはできない。

 現代は配信全盛の時代となり「リアルタイムの世帯視聴率」は急激に低下した。一方で、2作品とも民放動画配信サービス「TVer」での配信は常にランキング上位。ネット上の反響も上々だった。

 また、今年の傾向では、女優の吉高由里子(36)が主演を務め、紫式部役を演じたNHK大河ドラマ「光る君へ」も15日に最終回を迎えたが、平均世帯視聴率は大河歴代ワースト2位の11・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だった。こちらも視聴率こそ苦戦したものの、配信は好調。「NHKプラス」は第45話(11月24日)時点で大河歴代最高視聴数を記録している。

 さらに、流行語大賞にもなったTBS系1月期の金曜ドラマ「不適切にもほどがある”」も、全話を通しての平均世帯視聴率は7.6%。それでもその存在はお茶の間に浸透し、ギャラクシー賞をはじめ、ザテレビジョンドラマアカデミー賞や放送文化基金賞、ATP賞テレビグランプリなど数多くの賞を受賞するなど国内外で高く評価。昭和のヤンキー女子高生・河合優実のブレークにもつながった。

 視聴率だけでは評価することができなくなった近年のドラマ。「M―1グランプリ」の影響で「海に眠る…」最終回は「まだ見ていない」というファンも多い。最終回放送後の配信の行方も見守りたい。

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