将棋の「聖地」として長年親しまれた東京都渋谷区の将棋会館が23日、公式戦の稼働を終了した。この日は計9局を実施。午後9時17分に終了した竜王戦の森内俊之九段(54)―郷田真隆九段(53)が最後の一局となり、1976年(昭51)の開館以来、48年に及ぶ歴史に終止符を打った。
109手で勝った郷田は「巡り合わせで最後になった。長いことやってきたので、思い出がありすぎて。修業時代からずっとここでやってましたので。さみしい気持ちもありますし、新しい時代に入るので、最後の対局、よかったような…その場に自分がいられたのは光栄というか、思うところはありますね」と感慨深げ。
森内も「小学生の頃から長い間、こちらの開館で、アマ、奨励会、そしてプロになってからも対局させていただき、これで指すことがない…と思うと、今までのことを思い出しますし、ちょっと寂しい気持ちもある。最後の対局ができたことはうれしく思っています」と言葉をつないだ。
渋谷区のJR千駄ケ谷駅近くに9月に完成した新将棋会館には日本将棋連盟事務局、売店などがすでに移転。来年1月6日に特別対局室で新年恒例の指し初め式を行い、公式戦は翌7日からスタートする。