社会人野球のミキハウス・立花允夫内野手(33)は来季、遊撃の定位置奪取に挑む。
「自分がやってきたポジション。渡辺と一緒に競争してきましたが、いい選手だというのは肌で感じ取っていました。そこが抜けるというのはチームにとっても大きなことなので、もう1回、勝負したい気持ちはあります」
前身のミキハウスREDS時代から、堅実な遊撃守備でチームを支えてきた。21年の近畿2次予選では好守もさることながら、1番打者として打率・333、4打点をマーク。チームを16年ぶりとなる都市対抗出場へ導いた。だが、翌22年から今季までの3年間は、渡辺宏祐が遊撃の定位置を獲得。その間、立花は内野のユーティリティープレーヤーとしてだけでなく、今夏の都市対抗予選では天理大時代以来となる中堅でも超美技を見せるなど、従来とは異なる形でチームに貢献していた。そんな中、しのぎを削ってきた渡辺が今季限りで退部。チームが新たな転換期を迎えるにあたり、再び、心を奮い立たせる機会が訪れようとしている。
「来年は若い選手と競っていくことになります。長いビジョンで見た時に若手が守っていかないといけないと思うと同時に、僕自身も競争心を持ってやっていく。ショートはころころ人がかわるよりは、軸になるポジションですし、1人の選手がきっちり守っていくのが望ましいとは思います」
チーム随一の守備力を誇る伊藤将大、今季は二塁の定位置を獲得した田浦由亮、来春に入部する新人を加えた4選手での競争が待つ。陣田匡人監督が「立花が守れるのは分かっているし、一番上手い」と評するように、上積みを期すのはバッティング。チームの信条である“しぶとく繋ぐ”ことに徹するあまり今季は待球するケースが多かったが、来季へ向け「積極性を持ちながら打席に立ちたい」と意識改革を施すつもりだ。
パナソニック、日本新薬、日本製鉄広畑(現日本製鉄瀬戸内)、日本生命での補強選手としての出場を含めると、来夏の都市対抗出場を決めれば自身は9年連続出場となる。「チームが連続して出ることは会社にとっても大きいこと。一番はそこを伸ばしていけるように。個人の数字はおまけぐらいに思っています」。21年から4年連続出場のチームにとって、次なる目標は2大大会での8強進出。「そこにはまだ届いていない。まずはその目標をクリアします」。チーム最年長野手はナインの総意を力強く代弁した。