ソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)権を行使して巨人に移籍した甲斐拓也捕手(32)が23日、大分・別府市内で行われた「MURE BEPPUプレミアムトークイベント」に参加した。移籍決定後、初めて取材対応し、覚悟の決断を強調。阿部慎之助監督(45)が現役時代に背負った背番号10を託される新天地で、司令塔として君臨する決意を新たにした。
強い決意がにじんでいた。自らのさらなる成長へ選んだ挑戦の道。球団を通じたコメントは出していたが、甲斐がFA移籍決定後、口を開いたのは初めて。5度も「覚悟」という言葉を使って、決断への思いを言葉にした。
「とても覚悟がいる。生半可な思いではダメだなと。野球選手としての自分がどう成長できるかという楽しみもなくはないけど、決めた今でも相当な覚悟がいると思っています」
12月上旬に行われた福岡市内での巨人との交渉。同席した阿部監督から熱い言葉を投げかけられた。「ジャイアンツの司令塔になってほしい。捕手というのはグラウンド上の監督だと思っている。司令塔は必要だし、君にはできる。背番号10が似合うと思うし、俺の思いを引き継いでほしい」。憧れの存在でもある指揮官から現役時代に背負った背番号を提示され、“捕手・甲斐”の必要性を強く訴えられた。「球団に必要とされて、求められて入団するドラフト1位の人たちって、凄いうれしいんだろうなって感じました」と心を揺さぶられた交渉でのやりとりを、そう振り返った。
悩み抜いての決断。10年の育成ドラフトの同期だったメッツ・千賀にも相談した。挑戦したい気持ちと不安が入り交じる中で「彼はアメリカに行って、自分の夢を求めて挑戦している。まだ上を目指そうとする気持ちは必要だと思った」と刺激を受けたことも決断につながった。育成ドラフト6位だったことにも「どちらかというと入れてもらった。(ソフトバンクに)3軍ができたからこそ僕は入れたと思っている。感謝しています」と改めて感謝を口にした。
来季はプロ15年目。リーグも変わり、新たなステージへ。「覚悟を持って挑戦したい」と新天地に飛び込んでいく。(木下 大一)