不惑を迎える巧打者が逆襲のシーズンに挑む。来季40歳シーズンに臨む中日・大島洋平外野手(39)だ。
「もう一花、咲かせるつもりでいる。個人的には、もう一回試合にね。いつも全試合出場を目指してやっているので、原点に帰って、全試合出場を目指してやっていきたい」
12月21日に名古屋市内の球団施設で契約更改交渉し、1億5000万円ダウンの年俸1億円プラス出来高払いで単年契約を結んだ(推定)。減額制限(1億円超は40%)を大幅に超えるダウン提示にも、「受け止めてというか、もう来年頑張ろうと」と、短い言葉に決意を込めた。
もどかしさが募るシーズンだった。2年契約の2年目だった15年目の今季は自己最少75試合出場と不完全燃焼。若手中心の外野陣などチーム事情から、代打起用が増えた。
「試合に出ていないから、もちろん、その分のトレーニングはしているんだけど、試合での動く量が減って、他でカバーしようとやってきたけど、うまくいかなかったな、と」
出場機会の減少は状態維持を困難にした。途中出場の難しさにも悩まされた。「出たところで結果を出せなかった自分の力不足」と、言い訳しなかった。
全盛期と比較すれば、という向きはある。それでも、自主トレや春季キャンプなどの取り組みを見れば、まだまだトップクラス。若手と並んでシャトルランなどダッシュをすれば、先頭を駆け抜ける。180キロのバーベルスクワットも余裕でこなす。アジリティー上昇へ、瞬発系のウエートトレーニングに励む。本人は「年齢を感じないわけではないけどね」と言うが、ストイックな姿勢や、その努力を見れば、“復活”を期待したくなる。
「不惑ね。惑わされないことはないけど、自分の中で決めたことを、やってきて芯はある。いろんな枝葉もつけたのもいいと思っているし、ただ、自分の思っているところだけはブレずにいきたい」
ベテランの奮起は、若手主体に移行しつつあるチームにとっても刺激となりプラス。昨季、大学・社会人を経た選手ではプロ野球史上4人目となる通算2000安打を達成した球界屈指の巧打者。決意の一年に挑む大島に注目だ。(記者コラム・湯澤 涼)