ソフトバンクの山川穂高内野手(33)が25日、自主トレをともにするリチャード内野手(25)の“開花予告”をした。自主練習を行ったみずほペイペイドームで、自身が若手時代に取り組んだ量の練習を課して徹底的に鍛えていると話した。1軍の壁にぶつかってきた“鷹のロマン砲”は、目の色を変えて取り組んでいるという。愛弟子が覚醒すれば、自分の刺激にもなると熱っぽく語った。
山川は目を輝かせて愛弟子の成長に太鼓判を押した。この日は単独トレだったが、オフはほぼ無休でリチャードと体を動かしてきた。福岡での年内の自主練習はこの日で打ち上げ。26日に地元の沖縄へ移動し、再びリチャードと合流する。
「どうしても毎年期待されて今ひとつな感じを繰り返しているように見えると思うんですけど、今年に関しては本当にリチャードは凄いと思います。僕でも乗り越えられないような練習をさせてますので。ここからピッチを上げていく。楽しみにしてもらえればと思います」
猛練習は開始からおよそ1カ月が経過している。「とにかく量です。非効率な練習です。今は無駄を省いていく時代ですけど、普通の人が100回やることを1万回やらせるぐらいの。そういう意味では根性練習です」。打撃、守備などの練習のメニューや量を山川が全て設定している。“練習の虫”が自身の若手時代に取り組んできた分量を課している。
少しでも弱音を吐けばセット数を増やす鬼軍曹ぶり。全ては「力だけで言えば日本で頂点」と断言する愛弟子を思ってのことだ。「リチャードの人生の中で一番球場に来るの嫌なんじゃないですかね」とニヤリと笑った。
誰もが天性の飛ばす才能を認める“ロマン砲”。ウエスタン・リーグでは5年連続本塁打王も、今季1軍では15試合出場で打率・226、0本塁打、1打点だった。努力を重ねて覚醒すれば山川自身の刺激にもなる。「後輩に僕が“これをやりなさい”と言うわけなので。僕も33歳ですが半分はやらなきゃいけない。それでも十分な量をやることになる。そうやって切磋琢磨(せっさたくま)していくことに大きな意味がある」と語った。
年末年始も返上して休みなく練習し、沖縄の浜辺で“年越しスイング”を行うことも検討中だ。「メシと同じぐらいの感覚でバットを触らない日はありません」。手本となり、25歳の大砲候補を飛躍へ導いていく。(木下 大一)
〇…山川は西武時代にハードな練習メニューで自身の能力を引き上げた。その一つが沖縄・中部商時代の陸上部の顧問だった赤嶺永哲先生が考案した「えいてつ」と呼ばれるトレーニング。タイヤの押し引き、プレートを使用した運動などで鍛えた。赤嶺先生は92年国体の男子やり投げに出場し、のちに04年アテネ五輪男子ハンマー投げで金メダリストとなった室伏広治氏に勝った沖縄の名アスリート。