今年も10月下旬のドラフト会議で将来のプロ野球界を担う有望な若者たちが指名されて夢だったプロの門を叩いた一方、多くの選手がユニホームを脱いで新しい人生をスタートさせることになった。去りゆく選手を2回に分けて紹介する年末恒例の「惜別球人」。第1回はセ・リーグ編、広島・野村祐輔投手。
広島・野村は先発一筋13年で現役に別れを告げた。「デビューから211試合連続の先発登板」はプロ野球記録。21年の188試合目でミンチー(広島、ロッテ)を超えて以降は投げるたびに更新した。
「先発として使い続けてくださった監督に本当に感謝している。任せていただけたことで、数字を残すことができた」
球の切れと制球力を生かした投球術で、通算80勝。一番の思い出にはプロ初登板を挙げた。12年4月1日の中日戦で6回1失点。勝敗は付かなくても「プロとして第一歩を踏めて、うれしかった。今でも鮮明に覚えている」と振り返った。
来季も広島の一員として第二の野球人生をスタートさせる。来季から「3軍投手コーチ兼アナリスト」に就任。2つの役職を兼任するのは球団では初の試みで“二刀流”に気持ちを新たにした。
「いい時も悪い時も選手に歩み寄っていけるコーチが理想。アナリストとしても勉強させてもらって力になりたい」
コーチとしては培ってきた経験を基に選手に寄り添う指導を心がけ、選手のパフォーマンス向上のため動作解析システム「ホークアイ」や弾道測定器「ラプソード」による分析にも意欲的。新たな挑戦が始まる。(長谷川 凡記)
◇野村 祐輔(のむら・ゆうすけ)1989年(平元)6月24日生まれ、岡山県出身の35歳。広陵(広島)では3年夏の甲子園大会で準優勝。明大では30勝&300奪三振を記録。11年ドラフト1位で広島入団。1年目に新人王を獲得。16年は最多勝と勝率第1位の2冠でリーグ優勝に貢献。1メートル77、85キロ。右投げ右打ち。