◇第103回全国高校サッカー選手権1回戦 福井商0ー4大津(2024年12月29日 柏の葉)
福井商のGK福本竜矢(3年)は、特別な思いでゴールマウスに立った。「県大会で優勝したみんなに、この舞台に連れてきてもらった。自分が(シュートを)止めて“みんなを2回戦に”という気持ちだった」。
17大会ぶりに出場した大舞台は、優勝候補の大津(熊本)にシュート29本を浴び、4失点を喫した。それでも随所で好守を見せ、前半30分すぎまでスコアレスの展開に持ち込んだ。突き放された終盤も、決して集中を切らさなかった。最初で最後の選手権を終えた守護神は「自分たちが持っている力は全て出せた。日本一の大津にチャレンジして、最後まで戦えたと思う」と視線を上げた。
9月の福井県予選の直前に交通事故に遭い、右鎖骨を骨折した。全治3カ月と診断され、手術を受けた。それでも自らの意志で、2~3週間後には練習を再開。サポートに徹した県予選後、高木謙治監督から「全国はお前で行く」と伝えられた。その気持ちに応えるためにも、一日一日を必死に過ごしてきた。
「気持ちが乗っていたからかもしれないけれど、今日が近づくにつれてプレーは良くなっていた」。今後は大学で競技を継続する。ピッチに送り出した高木監督は「悔しい思いをしたと思うけれど、全力でサポートしてくれた。誰よりも努力していたので、今日のプレーにつながったと思う」とねぎらいの言葉をかけた。