◇第103回全国高校サッカー選手権1回戦 金沢学院大付0―0(PK4―3)鹿児島城西(2024年12月29日 U等々力)
初出場の金沢学院大付がドジャース流で全国1勝を挙げた。80分で決着せず、PK戦も4人目に突入。2年生GK石山アレックスは「自分がやってやる。3年生をまだ引退させない」と集中力を研ぎ澄ませた。右に跳び、両手ではじいた。続く5人目は重圧をかけ、キックミスを誘発。「大迫2世」FW大石を擁する鹿児島城西の前に立ちはだかった。川崎F下部組織出身の守護神が「聖地」というU等々力で勝利の立役者となった。
PKストップにつながった跳躍を指導しているのが旭大和ストレングスコーチ(38)だ。大リーグ・ドジャースの主にマイナーで約3年間のトレーナー経験を持つ。「石川県から世界に羽ばたく選手を」という同校に共感し、約8年前からスタッフに加わった。最先端スポーツ科学の視点で跳躍データを計測し、石山の跳躍前に体が沈む癖を修正。旭コーチは「ジャンプのキャパが増えた」と話す。以後、ハイボールの対応も見違えた。
来月1日、能登半島地震から1年を迎える。観客席には「頑張ろう石川」の横断幕が掲げられた。北一真監督は「自分たちは石川県代表。少しでも力に変えてもらえるように」と言った。次戦は31日に帝京と激突。最多6度の優勝を誇る強敵を倒し、被災地に明るいニュースを届ける。 (滝本 雄大)