◇第103回全国高校サッカー選手権1回戦 日章学園6―1西目(2024年12月29日 フクアリ)
3年連続出場の日章学園(宮崎)は来春、イングランド・プレミアリーグのサウサンプトン加入が内定しているU―19日本代表候補FW高岡伶颯(3年)が今大会初のハットトリックに2アシストと5得点に絡む活躍で西目(秋田)を6―1と圧倒し、2回戦進出を決めた。
日章学園のワンダーボーイが評判通りの実力を見せつけた。前半10分、高岡はこぼれ球に反応すると体勢を崩しながら先制弾。秋田県予選で無失点だった西目の守備網をいとも簡単にこじ開けた。7分後には細かいタッチから左足で2点目。最後はセットプレーから頭で決めて前半だけでハットトリック達成。得点パターンも多彩なゴールショーだった。
それでも「満足していない。4、5、6点といけた」と言ってのけるのが世代最強ストライカーたるゆえん。来春にはサウサンプトン加入が内定している。手本も名門リバプールなどで活躍した元イングランド代表FWマイケル・オーウェンと世界基準だ。体のサイズが高岡と似ており、現役時の動画を見ながら体の使い方、シュートを決めきる部分を参考にしている。
昨年11月、高岡の名が一気に注目されたのがU―17W杯(インドネシア)だった。4戦4発で日本の16強進出に貢献した。夢はW杯と欧州CLで優勝することと言う。28年にはロサンゼルス五輪も待つが「ロスではなくA代表を目指す」と強気に言う。国内のJクラブを経ずサウサンプトンに渡る決断も、全ては夢に向けた近道と考えたからだ。
5月にはJ3宮崎の特別指定選手に登録された。練習に参加するだけで球際の強さ、切り替えの早さなどを学んだ。21年度大会の阪南大高・FW鈴木章斗(現湘南)以来となる前半だけでのハットトリックもまだ序章に過ぎない。過去2大会は初戦突破に導けなかった高岡だが「(今回は)準備してきた量が違う。自信を持っている」と鼻息も荒い。
今大会の目標は「20得点」。首都圏開催となった76年度大会以降の1大会最多は鹿児島城西の大迫勇也(神戸)で10得点。非現実的に思えるが「あと5試合でいけるのかと言われると、逆にうれしい。大迫勇也選手の倍の選手と証明したい」と豪語した。前人未到の領域へ、高岡の強気ぶりは半端ない。 (中村 和也)
◇高岡 伶颯(たかおか・れんと)プロフィル
☆生まれ 2007年(平19)3月12日生まれ、宮崎県三股町出身の17歳。
☆フィジカル 1メートル65、63キロ、スパイクのサイズは25・5センチ。50メートル走は6秒0、100メートル走は12秒0、1500メートル走4分40秒、垂直跳び51センチ、背筋200キロ。
☆経歴 三股町立三股中時代には九州中学U―14大会3位。高校では全国高校選手権宮崎大会3年連続優勝。今年はJ3宮崎の特別指定選手。
☆好きな選手 元イングランド代表FWマイケル・オーウェン氏。「自分のプレーと似ていた」。好きなチームはサウサンプトン。
☆日本代表歴 23年にU―17日本代表初選出。同年U―17アジア杯優勝、U―17W杯では16強に貢献。今月にはU―19代表候補合宿に飛び級で選出された。