楽天のドラフト1位・宗山(明大)が、育成を含む新人6選手とともに仙台市の「泉犬鷲寮」に入寮した。「20年に一人の逸材」とも言われる走攻守三拍子そろった遊撃手は、年末年始を過ごした故郷・広島で英気を養い、背中を押された。
持参したのは三次市の三良坂小時代にプレーした、三良坂少年野球クラブのチームメートからもらったメッセージ入りユニホーム。今春それぞれの道へ羽ばたく仲間から「近くで試合があったら見に行くよ」と声をかけられた。「原点の気持ちを忘れずにいきたい。しっかり試合に出て頑張りたい」と誓った。
母校・広陵の中井哲之監督からは「遠慮したり、自分の良さを出せないのが一番もったいない。そういう厳しい世界だぞ」とハッパをかけられた。35年に及ぶ監督生活で、ソフトバンク・有原、DeNA・佐野らをプロに送り込んだ一方、実力がありながらも力を出し切れずにユニホームを脱いだ選手を数多く見てきた。含蓄が深い言葉をもらい「覚悟を持って頑張りたい」と胸に刻んだ。
新居は23年盗塁王の小深田、昨季11勝の早川らが過ごした背番号と同じ「1号室」に決まった。「歴代の素晴らしい先輩たちのおられた部屋。先輩方に続けられたら」。初夢は試合に遅刻する夢で「今年は遅刻に気をつけたい」と苦笑いしながら明かした。両親や親戚からは最後のお年玉をもらい「来年からは自分があげる立場なんだな。ここで生活していく。いよいよ始まるな」と実感を込めた。ドラフトで5球団が1位指名した杜の都のスター候補生が、プロ生活をスタートさせる。(花里 雄太)