広島・堂林翔太内野手(33)が9日、鹿児島市内の最福寺で9回目となる護摩行に挑戦した。チームメートの会沢翼捕手(36)中村奨成外野手(25)とともに、約1時間半の荒行。16年目を迎える今季に向けて決意を新たにした。選手会長2年目は「自分と向き合う」と宣言。昨季の反省を糧に、“自分に全集中”した上で、リーダーとしての真価を示す。
堂林は昨季の悔しさを思い返しながら、約3メートルの高さまで燃えさかる火柱と対峙(たいじ)した。今年で9回目となる荒行から、今季の戦いは既に始まっていた。
「今年も始まるんだなという気持ち。昨年はふがいない一年になったが、今年はとにかく周りを見る前に、まずは自分のことをしっかりやりたい。自分がやりたいことをやって、自分ともっと向き合えるようにしたい。そうすれば、おのずと周りも見えてくると思う」
2泊3日の初日は、約1時間半をかけて護摩木1600枚がくべられ、苦悶(くもん)の表情を浮かべながら、真言を唱えて己と向き合った。
選手会長1年目だった昨季は「初めての経験で、(プレーと選手会長の務めの)どちらも中途半端だった」と猛省する。自身初の開幕4番を任されたが、打撃不振で5月上旬に2軍落ちを経験。87試合で打率・230、1本塁打、17打点と満足のいく結果を残せなかった。チームも9月に大失速。選手会長として、苦境の打開に貢献できず、責任を痛感した。今季は同じ轍(てつ)は踏まない。
「とにかく、一年間戦力であり続けること。昨年は2軍落ちも経験しましたし、そういった思いをしたくない。(1軍で)しっかり一年間戦い、みんなで笑ってシーズンを終えられるような一年にしたい」
選手会長として、チーム全体に目を向ける前に、まずは一人の選手としてのプレーや振る舞いを重要視することが、結果的にチーム全体に好影響をもたらすと考えるに至った。「(練習でも)周りがやってるからやらないといけないとか、そういった自分に対して中途半端な部分も出てくると思うので、それを今年はなくしていきたい」。護摩行の炎のように、逆襲に向けて堂林の心は燃えている。真価を示すべく、降りかかってくる“邪念”を振り払いながら、16年目のシーズンに向かっていく。 (長谷川 凡記)
≪会沢は「気持ちを前面に出す」≫
C…堂林と同じく9年連続となる護摩行に臨んだ会沢は、決意を新たにした。「自分を奮い立たせる、じゃないけど、もう一回やってやろうという気持ち。去年、本当に悔しい思いをしたというところで、今年は気持ちを前面に出してやっていけたら」。現役ではチーム最長となる19年目のシーズンに向けて気合。その上で、「やっぱり気付いたことは教えてあげなくちゃいけない。捕手は後輩しかいないので、その辺は考えてあげないといけない」とベテランらしい献身的な姿勢も忘れなかった。