威風堂々の受け答えは想定内でもあり想定外でもあった。鳴り物入りでG大阪に入団した名和田我空(18=神村学園)。7日に行われた入団会見では椅子に背を預けながら抑揚なく淡々と語る姿が印象的だった。こなしてきた取材の数を想像すれば想定内、ただ高校を卒業予定のルーキーと思うと頼もしい想定外だ。
初めて彼を認識したのは21年夏の全中(全国中学校サッカー大会)。準決勝まで4試合で2度のハットトリック、決勝で2ゴールを叩き込み神村学園中を初優勝に導いた。もちろん大会得点王で大会MVP。左腕に黄色のキャプテンマークを巻いた背番号14は主役だった。あれから約3年半、身長170センチにも満たないスーパールーキーは青と黒のキットでプロの第一歩を踏む決意をした。
出身は宮崎の都城市。「小さい頃はガンバのキャンプを綾町まで見に行った事もある」と教えてくれた名和田だが入団への関連性はないという。「練習参加はいろいろ行きましたけど、ここでのフィーリングの良さが決め手です」。感覚的なワードを確認してみると「周囲とプレーが合わせやすかった」そうだ。
06世代最高峰のアタッカーだが最終学年は選手権出場を逃した。「悔しい思いはもちろんありますし、見れば見るほど自分も出ていたら、と思うがもっと上の舞台で返せるチャンスがあるのでそこで返したい」と既に切り替えは済んでいる。
同郷の高岡伶颯(18=日章学園)がプレミアリーグ・サウサンプトンへの挑戦を決めた事についても「人と比べる事でもないと思っている。しっかり自分自身がどう成長するかと言う方が大事」と焦りもブレも感じさせない。「もちろん海外志向はありますけどチャンスは出てくる。自分がやるべき事をやれば成長できるという自信があったので焦りはあまりない。ガンバ大阪で成長できるという自信はあります」。無表情だが自信満々でこう続ける。
「1年目ですけど、しっかり2ケタゴールを狙ってその中でより多くの得点だったりアシストでチームに貢献して勝利をサポーターの皆さんと分かち合えるように頑張りたいと思います」。力強く締めてくれた背番号38。参考にしている選手はマンチェスターCのフィル・フォーデン(24)だという。多少、意表を突かれたが、狭いスペースをスルスルとドリブル突破していく姿と見事なターン技術。身長もほぼ同じ。「なるほどな」とうなずいてしまった。
若き点取り屋・坂本一彩(21)が海外挑戦のためチームを離脱。ルーキーにかかる期待もゼロではないかもしれない。