ボクシングの大橋ジムは11日、横浜市内のジムで会見を開き、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(31=大橋)が24日に東京・有明アリーナで予定している防衛戦について、挑戦者をWBO同級11位の金藝俊=キム・イェジョン=(32=韓国)に変更して行うと発表した。
挑戦者だったIBF、WBO同級1位のサム・グッドマン(26=オーストラリア)が11日の練習で左目上を再び負傷。同選手をプロモートするノーリミット・ボクシングは挑戦断念の声明を発表した。試合は当初、昨年12月24日に予定されていたが、グッドマンがスパーリングで左目上をカットしたため、興行自体が1カ月延期となっていた。
ソウル出身の金藝俊は12年のプロデビューで通算25戦21勝(13KO)2敗2分け。日本人相手には7戦全勝で、リングネームは「トラブルメーカー」だという。14年4月にWBCユース・スーパーバンタム級王座決定戦で松本章宏(カシミ)を9回TKO、15年7月にIBFアジア同級タイトルマッチで宇津美義広(ヨネクラ)を7回TKO(棄権)、16年11月の同タイトルマッチでストロング小林佑樹(六島)を3-0判定、19年5月にWBAアジア同級王座決定戦で小坂遼(真正)を9回TKO(棄権)でそれぞれ撃破。コロナ禍で3年以上ブランクをつくったが、前戦の24年5月にWBOオリエンタル同級王座決定戦でインド選手に5回TKO勝ちしていた。
万が一に備え、1カ月ほど前からリザーバー(代役)を探していた大橋ジムの大橋秀行会長は、この日早朝にグッドマン陣営から「スパーで目を切って傷が(前回の)3倍大きいので試合ができない」と連絡を受けたと明かし、「リザーブを用意していたので30、40分で話をまとめて各団体からの承認を受けた」と説明した。金藝俊はオーストラリアに住んでおり、日本とも縁が深い元WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)とスパーリングを積んで準備していた。「やってくれる選手がほとんどいない中で、すぐ手を挙げてくれた。リングネームに嫌な予感はするが、良い試合になればいい」と話した。大橋会長が井上に伝えたところ「今回はさすがにビックリしていた。エッ!って」と驚いていたという。