阪神・中野拓夢内野手(28)が11日、愛知県岡崎市の岡崎レッドダイヤモンドスタジアムで自主トレを公開し、「打率3割、30盗塁」を今季の目標に掲げた。自己ワーストの打率・232にとどまった昨季の悔しさを胸に、逆襲を期す5年目。今オフは例年以上の練習量と打撃フォームの改造に取り組む。究極の目標はベストナイン。遊撃部門で選出された22年に続き、二塁手としての初受賞も視野に入れる。
マメだらけの手のひらが強い決意を物語っていた。逆襲を期す今季。年明けから間もない時期にもかかわらず、中野の両手には既に無数の努力の跡が刻まれていた。
「昨年が凄く情けないシーズンだった。良いマメができていると思うし、練習ができている証拠。何としてもやり返す気持ちで臨んでいます」
克服すべき今オフの課題は明確だ。昨季は2年連続で全試合出場を果たした一方で、打率・232は自己ワーストだった。「今年はどちらかといえば、守備というよりはバッティングに時間を割こうと思っている」。自主トレがスタートした6日には、例年の倍以上にあたる約600球の打ち込み。時には1時間休みなく、打ち続けることもあるという。
打力アップを目指す一環として、打撃フォームの改造にも力を注ぐ。顔の高さで構えていたバットは肩の高さに下げ、よりスムーズにバットを出せるように意識した。「今までは高く構えていたというか、そこからちょっと落とすような感覚のバッティングフォームになっていた」。並行して上半身と下半身の連動性を高めるトレーニングにも注力。新打法を習得できればミート力の向上につながり、従来のシュアな打撃が期待できる。
「(打率)3割は簡単でないのは凄く分かっているけど、その数字にチャレンジすることも大事。そういった数字を目標にしながら、何かタイトルをもう一回獲れれば」
その先に見据えるものは、プロ野球人生で初の大台到達だ。投高打低が叫ばれる昨今。昨季、両リーグで打率3割超えを達成したのはDeNA・オースティン、ヤクルト・サンタナ、ソフトバンク・近藤の3選手のみだった。中野が164安打で最多安打のタイトルを獲得した23年でさえ、打率・285。ハードルは高いが、果敢に挑戦していく。
キャリアハイを目指すのは打撃だけではない。昨季は自己最少の6盗塁。「(盗塁王を獲得した1年目の)30個は超えたい」。3割&30盗塁となれば、おのずと二塁手として初のベストナイン受章も見えてくる。強い決意で臨むプロ5年目。流した汗を決して無駄にはしない。(山手 あかり)
【初詣おみくじは末吉…】
○…年末年始は、愛妻とともに大阪で過ごした。正月は夫婦そろって初詣へ行き、引いたおみくじは末吉。「めっちゃ微妙な、なんとも言えないような感じでしたけど」と苦笑いを浮かべた。ただ、勝負の世界に身を置くとあって、プラス思考を強調。「逆に大吉で運を使うよりは、それぐらいから上げていく方が良いのかな」とシーズン開幕を見据えた。
【昨季3割打者12球団で3人だけ】
○…昨季の3割打者はオースティン(D)、サンタナ(ヤ)、近藤(ソ)の3人。両リーグで3人は2リーグ制以降で最少。近年では20年12人(セ8、パ4)、21年11人(セ7、パ4)、22年6人(セ4、パ2)、23年5人(セ3、パ2)と投高打低が進んでいる。
○…中野は昨季6盗塁でプロ4年目で初の1桁どまり。新人で盗塁王の21年はキャリアハイ30盗塁の一方で盗塁死もキャリア最少の2度だけ。盗塁成功率は・938で、盗塁王としては16年の山田(ヤ)に並ぶ歴代最高盗塁成功率&最少盗塁死だった。