首脳陣からの期待に応えるべく、ミキハウス・仲尾元貴投手(25)が腕を撫している。昨年は左の中継ぎとしてチームに貢献したが、入社4年目となる今季は先発、中継ぎとしてフル回転する準備を整えている。
「流れを一気に持って来られる大事な場面なので、ピンチで出してもらうのは、うれしい部分もあります。(首脳陣から)今年は先発もある、と言われているので両方で投げられるようにしたいと思います」
新たな調整法を導入する。中継ぎとしての起用が中心だった昨季は極力ブルペンに入り、1日30~50球の投球練習を続けていた。一転、今季は1日最大100球程度を投じ、翌日には20~30球の投球練習を予定。翌々日から2日ほどのインターバルを設けるまでを1セットとする構えだ。
「球速がそんなに速くないので、今年は球速を上げることにもチャレンジします」
従来は直球の1試合での平均球速が135~7キロほどで、最速は142キロ。それぞれ3キロほどの上昇を目指すにあたり、昨年11月の新チーム結成以降は投球フォームの改善に取り組んできた。ボールをリリースした際、後ろに体重が残っていたが「前に乗せて投げる」ように修正。さらに、踏み出した右足が真っすぐ伸びることを意識すると、徐々に球質が変わってきたという。
昨年のハイライトは、日本選手権近畿最終予選の日本製鉄瀬戸内との代表決定戦だった。2―1と勝ち越された直後の8回無死一、二塁から、エース・桜井俊貴を救援。「プレッシャーは感じていましたが、今までだったら、その場面で自分が起用されることはなかった」。意気に感じた思いをそのままに、曲がりの大きいスライダーと、タイミングを狂わせるチェンジアップを駆使。最後は2死満塁まで攻められたが追加点を許さなかったことで、直後の攻撃での一挙7得点を生んだ。19大会ぶりの本戦出場を決めた一戦で勝利投手に。変則左腕は「貴重な経験をさせていただきました」とはにかんだ
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新たな家族もできた。妻・愛理美さんと結婚。「これからは自分1人ではなくなりますし、守るべき存在というか、そういう思いはあります」と背筋を伸ばす。
絶対エースの桜井に加え、元巨人・高橋優貴の加入も決まった。タイプは異なるが同じ左腕として「絶対見て学ぶことがあると思うので盗んで、自分のものにしていけたらと思っています」と探究心も旺盛だ。今季、チームとして目指すは2大大会での8強以上。新たな歴史を築くべく、仲尾が一躍を担う。