将棋の藤井聡太王将(22)=7冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑戦するALSOK杯第74期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負第1局が12日午前9時、静岡県掛川市の「掛川城二の丸茶室」で始まった。
午前8時44分に永瀬が対局室入り。手にした紺色のトートバックや灰色のポーチから、ハンカチ、ウエットティッシュ、扇子などを取り出す。和服の袖を何度か気にし、眼鏡を入念に拭いた。48分に藤井が着席。扇子やデジタル時計を用意し、脇息(きょうそく)の位置を整えた。いつもは爽やかな色味の和服を着る印象だが、この日は茶色や深緑といった重厚な色合いの和服を着ていた。
9時になり、先手の永瀬がゆっくりとした手つきで▲2六歩。後手の藤井はお茶を飲み、おしぼりで手を拭いてから△8四歩と突いた。そのまま互いに飛車先の歩を伸ばし合い、戦型は相掛かりになった。
タイトル戦で過去3度戦ってきた藤井と永瀬だが、2日制で相まみえるのは初めて。ともに切磋琢磨(せっさたくま)し合う練習相手として知られる両者が、今回盤上でどのような“生きざま”を見せるのか。注目のシリーズが開幕した。