ベースボールアメリカ誌のベン・バドラー記者が11日、2025年の国際契約期間にドジャースと契約予定だったドミニカ出身のダレル・モレル遊撃手がパイレーツ入団に切り替え、契約金は約180万ドル(約2億8386万円)に達する見込みと報じている。
180万ドルはドジャースが提示していた金額のおよそ2倍に相当する。国際契約対象選手は16歳以上または25年の9月1日までに16歳になる選手だが、多くの有望株は13~14歳の段階で特定のチームとの関連が噂される。モレルもドジャースが有力と言われてきたが、直前になっての変更だった。
バドラー記者は、25年の国際契約クラスでは他にも同様のケースが起きると指摘する。ロッテからポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指している、佐々木朗希投手の存在によるものだ。佐々木が今月15日以降に契約を結ぶことから、国際契約クラス全体に大きな影響を与えている。
佐々木の契約金は500万ドル(約7億8850万円)前後と、各チームのボーナスプールの大部分を占める。獲得を目指すチームは、佐々木が決断するまでなるべくその枠を使いたくない。バドラー記者は「少なくとも6球団が佐々木の獲得レースにまだ名乗りを上げていて、5分の1、リーグの20%以上が国際契約で足止めを食らっている」と記した。
モレルは25年の国際クラスではエリート選手とはみなされておらず、若手有望株の情報を扱う「MLBパイプライン」でもトップ50にランクインしていない。ドジャースが佐々木獲得の有力候補とされる中、モレルには事前合意が実際に履行される保証がなく、ゆえにパイレーツとの契約に切り替えた。パイレーツが契約金を約90万ドル(約1億4193万円)も上乗せしたことも要因だった。
このように、佐々木に直接関係しない球団も他選手の引き抜きに動く。バドラー記者によれば、「一部の球団は他球団と事前約束している選手をスカウティングしている。選手の世話をしている現地のトレーナーたちも、新たなトライアウトに備えて選手を準備させている」とのこと。おそらく今年だけだが、国際市場に異変が起きている。