もし大学に進んでいれば、今年は「ドラフト1位候補」として騒がれていたかもしれない。日本ハムの若手有望株の一人、福島蓮投手(21)だ。21年育成ドラフト1位で入団し、今季が高卒4年目のシーズン。同学年は大学4年生の年となり、右腕は「早いですね。もうすぐ同級生が入って来ますよ!」と、笑顔で答えた。
育成3年目だった昨季は開幕直前に念願の支配下昇格。6月2日のDeNA戦(エスコン)で球団初の育成出身投手として初白星を飾るなど、12試合に登板して2勝3敗、防御率3・54と飛躍の年となった。今季年俸も540万円から1600万円と跳ね上がったが、大卒であれば上位指名もあったのでは?と考えてしまう。
プロ野球の世界、上位指名と下位指名では圧倒的に待遇の差がある。最大1億円の契約金が支払われるドラフト1位に比べ、育成選手は契約金はなく300万円程度の支度金のみだ。“1億円”を逃した形となったが、福島は「今振り返ればあの時、育成で入団して良かったと思いますね」と、一切の後悔はなかった。
もちろん高校在籍時は、育成でのプロ入りか大学進学かで悩んだという。当時は1メートル90、65キロと細身。周囲にも4年後、ドラフト上位でのプロ入りを進められたが、福島は「4年後にプロ入りできる保証はない。行ける時に行った方が良い」。最後は自らの意志で育成でのプロ入りを決断した。
もし大学に進んでいれば、今秋のドラフト会議で注目の的だったかもしれない。しかし、高卒3年目だった昨季に初勝利を挙げることも、大観衆のCSファイナルSのソフトバンク戦(ペイペイドーム)でも投げることはできなかった。「常に自分の選択を正解にできるように努力してきた」。そう口にした福島の今シーズンが楽しみでならない。(記者コラム・清藤 駿太)