◇都道府県対抗女子駅伝(2025年1月12日 たけびしスタジアム京都発着の9区間42・195キロ)
17日に阪神・淡路大震災から30年の節目を迎える兵庫は10位だった。
アンカーの9区(10キロ)を託されたのは1500&5000メートルの日本記録保持者、田中希実(ニューバランス)。トップの京都と3分10秒差の12位で発進すると、4秒差の13位でスタートした東京五輪代表で23年世界選手権1万メートルで7位入賞の広中璃梨佳(長崎、日本郵政グループ)と中間点では並走した。
田中は昨年、2区で19人抜きという快走を見せて区間賞を獲得。10度目の出場となる今大会、チーム事情も踏まえて担ったのが、自身初となるアンカーだった。「出走するのは10回目で、震災から30年というのも重なり、そこでアンカーという役回りが来たのも縁だと思う。逃げるのではなく、向き合いたい」。田中らはユニホームに震災節目のワッペンをつけて駆けた。
「(震災は)私が生まれる前の出来事で、どれだけ言葉を尽くしても、実際に体験された方の気持ちには及ばない部分があるのかなと思うんですけど…。でも、だからこそ、自分には走ることしかできない。一生懸命、生きている姿を見ていただけたら。あくまで、のびのびと自分らしくすることに意味があるんじゃないかと思う」。専門外の10キロだったが、魂を込めて駆けた。
後半に広中に突き放されたが、タスキを受けた12位から2つ順位を上げてフィニッシュした。32分28秒は区間6位。田中は「もっと気持ち良く走れたらよかったけど、やっぱりそう甘くはなかった。個人のレースだったら苦しくて休んでしまうところを休まずに走りきれたのは駅伝だったから。ただ、限界を超えるような走りは今日はできなかった」と振り返った。