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男性ブランコ(2)21年KOC準V 平井「人生で一番うれしかった」翌年M-1躍進ネルソンズのおかげ?

スポニチアネックス 2025年1月13日 11時6分

 大阪で芽が出ず、東京でブレイクした珍しいコンビだ。大阪ではコントへの反応が弱く、思い切った決断だった。しかし、その判断が功を奏し、2021年から賞レースでも活躍し始める。

【男性ブランコ・インタビュー(2)】

◆◆ 大阪、東京で10年の下積み…平井「長かった」 ◆◆

 ―大阪のNSCに入られて、6年目で東京に行かれましたよね。大阪でワーっと売れたわけではなかったと思いますが…。

 平井「ワーッとならないなと思ったんです。このまま大阪だと」

 ―それは自分たちのお笑いとの兼ね合いでしょうか?

 平井「そうですね。ぼくらは基本コントなんですが、大阪の特質といいますか、やはり圧倒的に漫才なんです。大阪は漫才国なんです。もちろん、大阪にもコントが好きな人もいるんですが、東京はエンタメに優劣がないというか。漫才もコントも全部一緒。フラットなんです。だからそこでダメだったらもう本当にダメだろうなと思って東京行きを決めた感じですね」

 浦井「大阪も、今はそんなことないと思いますけど、当時はコントの風当たりは強かったです。やりづらかったな、という思い出はありますね」

 ―それでもキングオブコントで準優勝するまでに4年かかったんですね。

 平井「後から最終決戦で負けたのが段々悔しくなったんですけど、終わった直後は本当にうれしかったです。もう人生で一番うれしかった」

 浦井「ほんとに」

 平井「10年以上、本当に賞レースとは無縁で。10年間は長いですよ、やっぱり。長いです」

 浦井「賞レースでなかなか結果が出ないので、本来やりたかった単独ライブにすごく集中していたときもありましたね」

 ―しかし、2021年はKOCだけでなく、M-1でも準決勝まで進出されました。

 平井「単独ライブも思うようにお客さんが来てくれなくて。そっちでもしんどくなった時期でした。だから、あの頃は改めて賞レースに向き合おうみたいな感じでしたね。なんとかして、ちゃんとネタを人に見てもらおう、見せられるやつは全部挑戦しようっていう感じで、キングオブコントもM-1も使える時間は注ぎ込もうみたいな風になってました。結果、キングオブコントで救ってもらったという感じです」

 ―こだわってきたコントで結果を出されたわけですが、翌年にM-1に出られたのはどういう理由だったのでしょうか?

 浦井「あの年は割とキングオブコントに集中してたんです」

 平井「でも準々決勝で負けて、月1で単独もやってたのでネタはめっちゃあって、じゃあ、切り替えてM-1に行こうとなりました」

◆◆ 伝説の「音符運び」和田まんじゅう絶賛で決勝ネタに

 ―で、決勝のネタが「音符運び」。

 平井「あれはね、和田まんじゅうさん(ネルソンズ)のおかげなんですよ。全然、賞レースを想定してないネタやったので(笑い)」

 ―審査員さんも「こんなんやる?」みたいなことを言ってましたもんね(笑い)。

 平井「ネルソンズさんと一緒にライブをした時にやって、和田さんが袖で見てくれてて、今年これやんの?みたいなこと言われて。いやいや、さすがにやらんっすよと言ったら、普通にいいけどな、マジで普通にいい、おもろいけど、とホメてくれたんです。え、マジっすか?みたいになって」

 浦井「でも、確かに毎回スベったことはないな、みたいな」

 ―しかもスーツ姿であのわけのわからんネタですから(笑い)。ギャップが凄かった。

 浦井「スーツはね、前年に仕立てたんです。けっこうカッチリした漫才しそうなルックスにして。それから急に成績が上がりましたね」

 平井「たぶん、スーツも振りの一部なんですよね。見た目って重要なお笑いの要素なんだなって思いました。しっかりしてそうなヤツがちょっと変な、とぼけたこと言うからおもしろい」

 浦井「変なカッコで出るとハードルが上がっちゃう」

 ―22年の決勝は山田邦子さんの点数が低くて、どんどん上がって、松本さんが96点で「おもしろいわー。こんなん大好きや」というコメントがとても話題になりました。

 平井「前年はキングオブコントで救われて、あの年は松本さんに救われました」

 ―賞レースでしっかり実績を上げられて、平井さんは「ライオンの隠れ家」に出演されるなど、俳優業の仕事も増えてきたと思うのですが、やはりやりがいはすごく感じていらっしゃるんでしょうか?

 平井「そうですね。めちゃくちゃ面白いなと思います。お芝居といっても、現場現場で違うし、舞台とはもちろん違うし、なんだったら映画とドラマも多分違う。そういう挑戦をさせてもらえるっていうのはめちゃくちゃ刺激的だと思います。もしかしたら、そういうところで見た人が調べてくれて、ああ芸人か、となって、単独ライブとかに足を運んでくれるんじゃないかなっていう思いもある。そうなれば、男性ブランコにとっていいなとは思いますけどね」

 ―やはり芸人として、単独ライブが一番重要なのでしょうか?

 平井「それは間違いないです。1年に1度全国ツアーを回るのか、定期的に何回やるのかわからないですけど、とにかく1年を過ごせるだけのちゃんとした金額を得られて、かつ関わっているスタッフさんとかもしっかり金銭を得られるものを作りたいという思いはあります。芸人さんによっては軸がいろいろ違うと思うんですけど、ぼくらはそういうイベントとか、単独ライブで太い軸を作りたいですね」

 浦井「ぼくはそのうえで、すぐいなくなるのではなくて、ずっといる人になりたいかな」=終わり

 【取材を終えて】印象的だったのはコンビを組むのを決めた瞬間の話だった。滋賀の田舎町にあるマクドナルド。NSCに行こうと思っている浦井だが、最大の理解者である平井になかなか言い出せずにいた。できれば一緒に行きたいが、企業の内定をもらったとも聞いている。そもそも自分は芸人への志は低く、平井の方が強かった。そんな友を戸惑わせたくはない。ただ、やはりひと言伝えておかないと、自分の決心は揺らぎそうだ。

 「おれ、NSC行こうと思ってんねん」「え?ほんま?おれも行くつもりやで」「マジ?でも、内定もらってんのとちゃうの?」「だから、内定先は断ってん」「ほんまに?」「それやったら、コンビ組む?」「うん」

 もし、浦井が口に出さなかったらコンビは結成されたのか?2人は芸人になっていたのか?運命に導かれるように男性ブランコとなった2人は、次々と新境地を開拓して周囲を驚かせている。(江良 真)

 ◇FOLKER(作・演出後藤ひろひと)女性死刑囚たちにレクリエーションとして採用されているフォークダンス。死刑執行の恐怖におびえながらも、淡々と踊る女性たち。ある日、フォークダンス大会出場の話が持ち上がった。彼女たちは大会へ向け練習を重ねるが…。出演 紅ゆずる、遠藤久美子、小島聖、松尾貴史、男性ブランコら。2月14~23日、大阪・堂島リバーフォーラム。チケット6000円。

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