◇テニス 全豪OP第1日 錦織3-2チアゴ・モンテイロ(2025年1月12日 メルボルン)
男子シングルス1回戦で、4年ぶりに出場した元世界ランキング4位で現74位の錦織圭(35=ユニクロ)が同106位で予選勝者のチアゴ・モンテイロ(ブラジル)に4―6、6―7、7―5、6―2、6―3で逆転勝ちした。全豪での勝利は8強入りした19年以来、6年ぶり。第3セットには相手のマッチポイントを2度しのぐ驚異の粘りと“5セットキング”の本領発揮で復活を印象付けた。
強い錦織が帰ってきた。最終セット、最後はモンテイロの打球がネットをはじくと、両手の拳を何度も握った。4年ぶりの全豪の初戦で、“死の淵”と言える2度のマッチポイントをしのいでの大逆転勝利。「ほとんど諦めかけた。それでも最後まで戦おうと思った。今もまだ(勝利の)実感はない」と、本音が口をついた。
前週の香港オープンでは準優勝。上り調子でメルボルンに乗り込み、前日には世界2位のズベレフと1時間打ち合うなど準備は万全だった。だが、勢いのある左利きの30歳の前にミスを重ねた。第2セットはセットポイントを2度握るもチャンスをものにできず。それでも第3セットの窮地をしのぐと、「(以降は)リターンも合うようになった」と主導権を握り、4時間6分の死闘に終止符を打った。
かつては「5セットキング」の異名を取った錦織。この勝利でフルセットマッチは通算29勝8敗、中でも全豪では8勝1敗となり、無類の強さを発揮する。4大大会で自身最多となる4度の8強入りをしている全豪でも通算28勝目となり、27勝で並んでいた全仏、全米を超えて単独最多に。名実ともに好相性の舞台で「本当の実力が出るのが5セットマッチ。徐々にプレーが良くなった」と胸を張った。
度重なるケガで長期離脱し、一時は世界ランキングも3桁まで降下した。昨年12月には35歳となり、アラフォーに片足を突っ込んだ錦織。この数年間の苦闘から再びひのき舞台にはい上がったストーリーは、この日の試合に重なる。「確実にちょっと休みたい。リカバリーが先決」。2回戦は第12シードのトミー・ポール(米国)と世界64位のクリストファー・オコネル(オーストラリア)の勝者との対戦。かつての輝きを完全に取り戻すためにも、まずは心身を休め、次の戦いに備える。