女房役らしいおもてなしだった。ソフトバンクから巨人にFA移籍した甲斐が12日、地元の大分市で自主トレを公開。午前の練習後にはファンと報道陣に昼食を振る舞った。
「たくさんの方に協力していただいて本当に感謝しかない。大分のものを食べていただけたらと思って始めた」
ソフトバンク時代から自主トレ公開日の恒例行事。大分名物のとり天や中津唐揚げが入った弁当65人分、知人を通じて協力を得ている錣山部屋のちゃんこ鍋200人分にイチゴを用意した。現役時代に扇の要として「目配り、気配り、思いやり」を大切にした阿部監督から背番号10を受け継いだ32歳は、自ら取り分けてもてなした。
正捕手として期待される新天地。「優勝しかない。そして日本一。捕手は勝って評価されると思っていますし、勝たないといけないチーム」と重責を全うする覚悟だ。打力向上にも余念がない。昨季まで同僚だった近藤と同じ練習法を導入。「ボールに対してしっかりバットを入れて力強く飛ばすため」と内角高めと外角低めに設定したボールのどちらかを打つ「置きティー」を繰り返した。
巨人の帽子とTシャツ姿で走り込みに送球練習、ウエートなど約8時間も汗を流した。豊富な練習量で育成からはい上がってきた男は色紙に「挑」と記した。「挑戦の一年。どんな自分になれるか楽しみ」。年間100試合以上出場の「正捕手」として両リーグで日本一に輝いた例は過去にない。リーグ連覇、日本一奪回こそファンへの最高のおもてなしだ。(青森 正宣)
≪女子ゴルフ阿部と“コラボトレ”≫昨年ツアー初優勝した女子プロゴルファーの阿部未悠(24)が2年連続で甲斐との自主トレに参加した。昨年に続き“コラボトレ”として、阿部がクラブで上げた打球を捕球する「アメリカンノック」を実施。甲斐含め9選手がゴルフボールを追い、甲斐は「ボールも小さいので、集中しないと難しい。風の影響で曲がったり、伸びたり。いい練習になる」と汗を拭った。