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【王将戦】永瀬九段 藤井王将をひと飲み!?前夜から夕食までジュース10杯 意表を突く端攻め

スポニチアネックス 2025年1月13日 5時32分

 ◇ALSOK杯第74期王将戦7番勝負第1局第1日(2025年1月12日 静岡県掛川市 掛川城二の丸茶室)

 将棋のALSOK杯第74期王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)が12日、静岡県掛川市の掛川城二の丸茶室で開幕した。挑戦者の永瀬拓矢九段(32)が先手番から相掛かりの戦型を選択し、巧妙な指し回しを終始展開。4連覇を狙う藤井聡太王将(22)=7冠=にプレッシャーを与え続け、47手目を封じて第1日が終了した。第2日は13日の午前9時に再開。開幕白星に向けた激闘は、さらに激しさを増しそうだ。

 午後6時を5分超過してから永瀬は、納得の表情で「封じます」と告げた。第70期王将戦(21年)以来の2日制でも、慣れ親しんだかのように封じ手の手順を進めていく。正立会の森内俊之九段(54)に封書を託し、控室に戻った挑戦者は「消費時間では同じくらいに折り合いましたね」と対局を簡単に振り返り「明日(13日)から本格的な戦いが始まると思います」と、言葉に力を込めて迎えのタクシーに乗り込んだ。

 各8時間持ちの考慮時間で、永瀬が第1日に消費したのは3時間35分。4時間2分の藤井に対し27分差は確かに対等に近い。だが盤面上は微妙な「差」がにじみ出ている。

 振り駒で先手を得ると、藤井の好む角換わりでなく、飛車先の歩を突き合う「相掛かり」を選択した。過去25局では22年7月17日の棋聖戦第4局以来、12局ぶり5回目となるレアな戦型。長く温めていた作戦を王将戦のひのき舞台でしたたかにぶつけた。27手目▲1五歩(第1図)で意表を突く端攻めを開始し、2手後の▲8七歩には「3手一組ですね。おそらく事前に深く調べているのでしょう」と、永世名人資格を持つ森内九段も舌を巻いた。藤井の想定範囲を外しただけでなく、応手の範囲を徐々に狭めていく。

 盤そばにはブドウ糖補給のinゼリーがずらり5個。掛川名物の紅ほっぺ(いちご)&キウイフルーツの濃厚フレッシュジュースを前夜からこの日夜にかけて10杯も飲んだ。昼食はチーズイン煮込みハンバーグにサラダ、ご飯、パン2個に加え「抹茶オペラ~テ・ヴェール~」(ケーキ)もぺろり。旺盛な食欲で藤井を圧倒した。

 藤井と激突した過去3度のタイトル戦は、いずれもシリーズ敗退の屈辱を味わった。その都度、棋譜を再吟味した永瀬は、ある事実に気がつく。「自分が先手番で6戦全敗したが、ほとんどが終盤までは優勢だった」。つまり最終盤のミスさえなければ栄冠をものにできる。「とにかく先手でブレークすること」を目標に臨んだ今シリーズ。それに一歩近づいた第1日だった。 (我満 晴朗)

 ○…対局場となった「掛川城二の丸茶室」がある御殿では、対局を記念した御城印が販売された。国産ひのき材を0・5ミリ厚に加工し、将棋の駒をかたどったデザイン。藤井と永瀬の揮毫(きごう)が入っており、1枚1500円。販売していた男性スタッフは「開館する午前9時前から、150人ほどが並んでいた。県内外から購入しに来る人がおり、将棋ファンの熱量を感じる」と話した。限定2000枚で、きょう13日も購入することができる。

 

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