将棋の藤井聡太王将(22)=7冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑戦するALSOK杯第74期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負第1局が13日、静岡県掛川市の「掛川城二の丸茶室」で再開した。2日目を迎えたこの日、藤井が1日目に食べたおやつが対局者のメニュー表から“消える”珍事が発生した。
頼めなくなったのは、藤井が1日目の午前のおやつで注文した「よこすかしろ羊かん」。市内の和菓子店「菓子司 しみづ」で約30年前から販売されている一品で、藤井の注文以降問い合わせが殺到。店頭でも完売してしまい、2日目に対局者に提供する分がなくなってしまったという。
2日制のタイトル戦の最中、ラインナップされたおやつが途中から選べなくなるのは異例。2代目店主の鈴木雅之さん(59)は「年末に売れることはあるが、1日で一気に無くなってしまうのは初めてで想定外。対局者の方には申し訳なかったけど、藤井さんのおかげです」と話した。
同市の南部地域(旧大須賀町)で栽培された「さとうきび」を昔ながらの製糖方法で製造した希少価値の高いべっ甲色の砂糖「よこすかしろ」を使用した羊かん。あっさりとした白あんをベースに、ほんのりとした甘みと深い味わいが楽しめる。
「菓子司 しみづ」ではつぶあんを使った「太鼓最中」が人気だが、今回藤井が注文したことで「よこすかしろ羊かん」が一躍有名に。手間暇をかけて作られ、完成に2~3日かかるこだわりの和菓子。鈴木さんは「15日から改めて販売予定。店の新たな名物になったらうれしい」と声を弾ませた。