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【玉ノ井親方・視点】琴桜 豊昇龍と比べると綱獲りを少し意識しすぎているように見える

スポニチアネックス 2025年1月13日 19時46分

 ◇大相撲初場所2日目 ○阿炎(突き出し)琴桜●(2025年1月13日 東京・両国国技館)

 綱獲りを目指す琴桜は、それを少し意識しすぎているのかもしれない。

 阿炎戦は立ち合いで当たった後に、相手を見すぎて足が前に出ていかなかった。

 阿炎は引き技がうまい。不用意に出ていくと危ないと警戒していたのもかもしれない。だが、それこそ相手の思うつぼ。結局、相撲が受け身になり、反撃のチャンスをつかめないまま突き出されてしまった。

 目の間に大きなニンジンがぶら下がっているのに、意識するなと言っても難しいに違いない。ただ、慎重に取ることも大事だが、先のことを考えすぎて、相撲が消極的になってしまっては、本末転倒だ。

 琴桜と同じ立場の豊昇龍の相撲と比べるとその違いが良く分かる。

 翔猿との一番。豊昇龍は当たってすぐに相手の腕をたぐるような形でまわしを取ると、そこから素早い攻めを見せた。一気に前に出て寄り倒す、大関らしい思い切りの良い相撲だった。

 琴桜もそういう相撲を心懸けた方が良い。

 話を阿炎戦に戻すが、相手が突き放してくるのは想定内だったはず。そうであれば、それを警戒して受け身になるのではなく、自分から前に出て攻めた方が良かった。もし、それで引き技を食らって敗れたとしても、納得できただろうし、気持ちの面で尾を引く負け方にはならなかったはずだ。

 そもそも、1メートル89、181キロの大きな壁のような大関にグイグイ前に出られたら、誰だって取りづらいはずだ。

 星勘定をするのは後半戦の大詰めを迎えてからで十分。今はとにかく目の前の一番に集中して、自分の相撲を取り切ることだけを考えるべきだ。(元大関・栃東)

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