◇第103回全国高校サッカー選手権大会決勝 流通経大柏1―1(PK8―9)前橋育英(2025年1月13日 東京・国立競技場)
3大会ぶり8度目出場の流通経大柏(千葉)は07年度の第86回大会以来17大会ぶり2度目の優勝はならなかった。決勝で前橋育英(群馬)とPK戦10本目までもつれた激戦で力尽き準優勝。17年度大会の決勝で敗れた因縁の相手にリベンジを果たせなかった。
流通経大柏イレブンは試合終了後、ピッチ上で泣き崩れた。延長含め110分間の激闘。榎本雅大監督(46)は拍手で選手たちを迎え、試合後の会見ではねぎらいの言葉を送った。
「決勝戦にふさわしく、素晴らしゲームだった。最後まで勇敢に戦ってくれた」
PK戦も10人目までもつれ、最後はFW安藤が失敗。指揮官は「PK戦は複雑な勝敗の決め方。一人に背負わせるのは難しい」と語った。
J1湘南への加入が内定しているDF松本果成(3年)は準決勝の負傷が影響し欠場。「影響がなかったわけではないけど、想定してメンバーを組んでいるので、そういうこともある」と話した。
育成と強化の両輪で指導してきた。選手の個性を尊重し、得意なことを伸ばす自主練習の時間を増加。より一芸を磨かせたことで、Jリーグクラブ内定者がそろうタレント軍団はさらに成長した。
3年生たちはJリーグ、大学などそれぞれが次のステージへ進む。榎本監督は「彼らは今日の悔しさを糧に必ず強くなる。将来、日本代表で、世界で、戦ってくれることを期待している」と言った。戦いの終わりは新たな旅の始まり。指揮官は充実した表情で選手たちの未来に願いを込めた。