◇大相撲初場所2日目（2025年1月13日 両国国技館）
照ノ富士は連敗こそ阻止しましたが、相撲内容は復調途上の印象を持ちました。
過去1年の対戦では連敗している難敵の隆の勝戦。危ない場面はなかったものの、まわしを引きつけて盤石の体勢で寄っていく姿ではなかった。じっくり慎重に攻めているのか、それとも攻めきれないのか、判断の難しい攻めでした。花道を引き揚げていく姿も少し首をひねっているようなそぶりも見られた。初日の若隆景戦も相手の腕をたぐる必勝パターンが崩壊。今まで当たり前にやっていたことが当たり前でなくなっていることは確かです。
とはいえ「勝った」という事実は何よりも代え難い良薬にはなります。日を追うごとに調子を上げて終わってみれば優勝――そんなシーンを過去に何度も見てきました。
今場所もここから加速することも想定できますが、問題はどの段階でギアが上がるか。ケガを抱えての復帰場所。本当のヤマ場はこれから訪れそうです。（元横綱・稀勢の里）