プロボクシング元世界ヘビー級王者のタイソン・フューリー(36=英国)が13日、現役引退を表明した。SNSに投稿した動画で「簡単に言うと、ボクシング界からの引退を表明したい。最高だった。全ての瞬間が楽しかった。これで終わりにしよう。ディック・タービンはマスクを被っていた。皆さんに神のご加護がありますように。向こう側で会いましょう」などと述べた。ディック・タービンは有名な18世紀の英国の泥棒だが、なぜ名前を挙げたのかは不明。
フューリーは昨年12月、3団体統一同級王者オレクサンドル・ウシク(37=ウクライナ)との再戦に判定負けし、WBC同級王座から陥落した5月の初戦に続き連敗となっていた。戦績は37戦34勝(24KO)2敗1分け。
元3団体統一王者のフューリーは13年や17年、最近では22年にも引退表明して撤回している。今夏にも元3団体統一王者アンソニー・ジョシュア(35=英国)との対決が計画されていたが、ジョシュアは11日に今年中の実現を否定しており、今回の引退表明もそれを受けたものとみられる。
フューリーのフランク・ウォーレン・プロモーターは引退表明を受け、米TNTスポーツに「彼がそうしたいのならそうすべきだろう。彼は英国史上最高のヘビー級ボクサーだ。素晴らしい試合をいくつも経験し、実力を示した」とコメントした。一方、ジョシュアと契約するエディー・ハーン・プロモーターは「引退した後はより良い条件が引き出せる」とファイトマネーを増やすための“手口”だと表明を疑問視。「もしかしたら彼にはもう耐える勇気がないのかもしれない。2度も(ウシクに)殴られて十分と。私はそうは思わないが」とも付け加えた。