がんで闘病中の経済アナリスト、森永卓郎氏(67)が14日、ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」にリモート出演。スタジオ出演した経済アナリストで息子の康平氏(39)とともに大手企業の間で、初任給引き上げの動きが加速していることに言及した。
東京海上日動火災保険は2026年4月に入社する大学新卒の社員に対し、初任地への赴任で転居を伴えば月約28万円の初任給に最大約13万円を上乗せした額を継続して支払う制度を導入。最大で計約41万円を受け取れることになる。
また、三井住友銀行は2026年4月に入行する大学新卒の初任給を現状の25万5千円から4万5千円引き上げた30万円にする。
明治安田生命も今春、転勤の可能性がある採用枠の初任給について、3万円引き上げ、固定残業代を含めると最大33万2000円にする。
康平氏は「ここにきて初任給30万円台、なんなら40万円台。私の感覚からしてもすごい高く見えてしまう」とした上で「ただ、気を付けないといけないのは、世界的に先進国とかと比較した時にそんなにめちゃくちゃ高いわけでもないし、むしろ20万円台が多くの方のイメージであるのに、そこでまったく上がらなくても平気だったのはいわゆるデフレ経済を長く続けていたので許容されてたけど、ここ数年は物価がバンバン上がる状況で人がどんどん減ってしまうわけですから(給料を)出さないと(良い人材を)獲れない。当たり前かなっていうか、ようやくまともな経済が戻って来た気がします」と語った。
ただ、割をくらっている就職氷河期世代に対する手当を今後どうするかがテーマになるとした。
一方、森永卓郎氏は「大企業しか上げてないのと、もう一つ重要なのは40万近い初任給を出してるところは、ほぼすべて銀行とか保険とか、いわゆる“金融村”の人々なんですよね」と指摘。「真面目に国民生活をよくするために頑張って働いてるお弁当屋さん、お菓子メーカーとか、出せてないんです。私はこっちの分配の不平等っていうのも大きな問題と思いますよ。真面目にきちんと国民生活を支える企業が給料を出せる方が正常な社会と思っている」と持論を口にした。
また、康平氏は「これから就職活動する人たちに注意点を言っておきたい」と注意喚起も忘れず「例えば、東京海上日動41万円って話が出てきて、多分、学生はぱっとみえる表面的な数字に食いついちゃって、学生の時点で“俺はこれに人生を捧げるんだ”っていう気持ちで仕事を選べる子はあまりいなくて、やっぱりなんとなく会社名、給料の金額とか表面的なことで決めちゃうんですけど、東京海上日動の41万円って、転居を伴う転勤に同意してかつ実際に転勤した場合は上限で41万円になりますよってだけの話であって、希望してても転勤がない時とか、そもそも転勤を希望しない場合は当初の28万から変わらないんですよ」といろいろと条件が付帯していると指摘した。
続けて「だから、こういうの結構多くて大手が今、額面の勝負をしているんですけど、いきなりそんな出せないから、実は30時間のみなし残業込みになってますとか、いろいろやってるので学生の皆さんは表面的な数字を見るときは裏側の条件とかちゃんと細かく見ないと入った時に“あれ?41万じゃないの?”ってあり得るので」と様々な条件があることをきちんと確認しておいた方がいいと促した。