弁護士の菊地幸夫氏が14日、TBS系「ゴゴスマ~GO GO!smile~」(月~金曜後1・55)にコメンテーターとして生出演し、札幌市のホテルで一昨年7月、男性(当時62)の遺体が見つかった事件で、娘・田村瑠奈被告の殺害行為などを手助けした罪などに問われた父親の修被告(61)の初公判についてコメントした。
起訴状によると修被告は、瑠奈被告が犯行を行うと知りながら、のこぎり2本、キャリーケースなど12点を提供したほか、瑠奈被告と男性との待ち合わせ場所まで車で送迎、犯行後に男性の頭部をケースに入れた瑠奈被告を乗せて帰宅したとされる。また、瑠奈被告が男性の頭部を自宅に隠匿することを容認し、瑠奈被告の依頼で頭部を損壊する様子を動画撮影するなどしたとし、殺人ほう助、死体損壊ほう助、死体領得ほう助、死体遺棄ほう助の4つの罪に問われている。初公判で修被告は、いずれも無罪を主張した。
菊地氏によると、今回の事件は男性を殺害した「殺人」、男性の頭部を切断した「死体損壊」、頭部を持ち帰る「死体領得」、頭部を自宅で保管する「死体遺棄」、自宅で頭部を傷つける「死体損壊」の5つに分けられるという。修被告は、それぞれを手助けした、ほう助の罪に問われている。
菊地氏はほう助罪について「たとえば殺人なら殺人、人を死に至らしめるという、そこじゃなくて、それを容易にする。たとえば精神的な応援なども含まれる。あるいは道具を提供するとか、ほう助は範囲が広くなる。そういう犯罪です」と解説した。
弁護側の主張では、修被告は瑠奈被告が持ち込むまで計画や実際の犯行を知らず、のこぎりやキャリーケースの購入、さらに送迎という行為が、犯行を容易にするという認識はなかったという。また、撮影することをもって、死体損壊行為を手伝ったと評価することもできないため、いかなる犯罪も成立しないと述べた。
こうした主張について、菊地氏は「たとえば撮影ですよね」とし、回転ずし店などで一時期、被害が多発した不適切行為の動画を例に挙げて「おすし屋さんとか、回転ずしとかでの不適切な行為を動画に上げる(ために)撮影している人がいますよね。その人も一緒に立件される」と説明した。
それを踏まえて、今回の事件での撮影行為について、菊地氏は重要な意味があったのではと推測した。「父親は、自分がやらないと、また母親が(瑠奈被告から)頼まれるという。ビデオに残すということは、非常に核心的な意味があるということなんですよね。ほう助で立件されていますけど、場合によっては共同正犯というような構成だってできなくもない」。さらに「その点を考えると、手伝っただけなんだと。別に撮影したってしなくたって、本人が死体を傷つけるということを容易にする、手助けするという意味はない…と言えるのかな?という疑問がありますね」と、自身の見解を示した。