【古野公喜のおもろい噺家み~つけた!】昨年6月に76歳で亡くなった桂ざこばさんに入門したのが25年前の2000年。3月に「二代目桂力造」を襲名する桂ひろば(46)は「襲名披露で師匠に(横に)並んでほしかった。残念です」と語った。
京都学園大2年のころに落語と出合った。2年先輩の高座を聞き、落語研究会に入部。その先輩が三遊亭鳳志(48)。先輩が大学卒業後に東京でプロになると知り、「それなら自分も。この道へ」と大学を中退した。
学生時代、ネタは「寿限無(じゅげむ)」の1本のみ。だが、鳳志先輩に勧められ、大阪・松竹座で公演中のざこばさんを訪ねて弟子入り志願した。00年5月に大阪・箕面で初舞台。大阪市内の師匠の実家に住み込み、テレビ・ラジオで9本のレギュラーを抱えていた師匠に付いた。
1メートル82センチでMAX115キロの巨漢だったが入門3カ月で体重は95キロに。「疲れてたんでしょう」と苦笑いだ。師匠から体の大きさをイジられたりしたが「ホントに優しい方。人間的な魅力のある方でした」。
現在の持ちネタは60本余り。「酒、相撲のネタが好きです」。古典を丁寧に伝えることが信条だ。かつて「阿弥陀(あみだ)池」の稽古後、ざこばさんから突然「きょうの稽古は誠によかった」と褒められて「自信がつきました」。また、「首提灯(ぢょうちん)」を初めて演じた時に、高座後の反省会で大師匠の桂米朝さんから「ひろばの首提灯、言うことないな」。ざこばさんも喜んでくれたそうだ。レジェンド2人からもらった言葉は今も大事な宝物だ。
趣味は旅行にバイク。4年前に購入した1500ccのハーレーで先輩の桂南天(57)とツーリングを楽しむ。ただのバイク旅行ではつまらないからと、現地で落語会を開催。2年連続で宮崎で開催し、今年は山口での落語会が決まっている。3月20日に「四代目桂米之助」を継ぐ桂ちょうば(46)、「二代目桂惣兵衛」を継ぐ桂そうば(46)と3人そろって襲名披露公演。ひろばはいくつかの候補の中から「二代目桂力造」を選んだ。「力造」は1840年頃に活躍した名跡。「字画がよかったのと、周りに呼んでもらいやすい名前だと思って」。その名跡の通り「力強いパワフルな落語を確立したいですね」と東京、京都などを回る披露公演に向け、腕ぶしている。 (演芸担当)
◇桂 ひろば(かつら・ひろば、本名・津村裕也=つむら・ひろや)。1978年(昭53)7月6日生まれ、大阪府阪南市出身の46歳。京都学園大中退後の2000年5月、桂ざこばさんに入門。趣味はツーリング、囲碁。特技は手品。