映画「君の忘れ方」(監督作道雄、17日公開)で初めて単独主演する俳優の坂東龍汰(27)がスポニチ本紙のインタビューに応じた。婚約者を亡くした主人公・昴の死との向き合い方がテーマ。昨年12月、自身の写真集の中で、3歳で実母と死別したことを明かしており「昴の体験は人ごとじゃなかった」と撮影を振り返った。
幼い時に経験した身内の死。悲しい、寂しいとは別に「死は得体の知れないもの」という思いが残ったという。撮影中は自身の感情と昴の感情が交差。「ずっと混乱していて、急に笑ったり、すぐ無表情になったり。うつ状態でした」といい「それは画面にも出ている」と、極限状態にあったという。
「演じるのではなく、役として生きる」が信条。中でも映画は「自分をさらけ出す場所」と強い思いを持つ。「自分のトラウマとも向き合うし、隠しておきたい表情も見せる。それは僕が役者になった意味なんだと思う」と前を見つめた。
死別などの喪失から立ち直る「グリーフケア」をテーマにした主演作。自らが思うグリーフケアは「忘れないこと。不安な時に思い出したり、お墓参りに行ったり。思うことでいつでも一緒にいられる」と明かした。(西村 綾乃)