今季の開幕投手に決まっている日本ハムの3年目右腕・金村尚真投手(24)が14日、エスコンフィールドでの自主トレを公開した。年始に故郷・沖縄で訪れた初詣では大吉を引き当て、おみくじには「先輩に頼れ」との“お告げ”もあった。昨季の開幕投手の伊藤大海投手(27)ら経験者の助言を受けながら、3月28日の西武との開幕戦(ベルーナドーム)へ調整していく。
いよいよ“開幕投手イヤー”が始まる。年末年始に故郷・沖縄に帰省した金村は、初詣で引いた大吉のおみくじには「先輩に頼れ」という趣旨の言葉が書かれていた。昨季は中継ぎでスタートし、5月から先発転向して7勝を稼いだが、まだ未経験の大役。“聞き魔”となって先輩投手に助言をもらいまくる。
「本当に先輩だらけなので、今年はどんどん積極的にいろんな助言を聞きにいこうと思っている。開幕は絶対に勝ちたいので、闘志が燃えています」
昨季は2軍本拠の千葉・鎌ケ谷で自主トレを行ったが、今年はエスコンを自主トレ場所に選んだ。理由は「(伊藤)大海さんがいるから」。昨季の開幕投手で投手2冠の右腕は、これ以上ない教科書だ。同じ場所で自主トレすることで助言を聞きやすく、多くのメリットが生まれるはずだ。この日もカットボールについて「右打者の外角を狙って投げるといい」と助言を受け、捕手を座らせたキャッチボールですぐさま実践した。
多彩な変化球を操る右腕は、チェンジアップの向上にも取り組む。昨季終了直後には、現役時代に球界屈指の使い手だった金子2軍投手コーチにリリース時のコツを指南された。中指と薬指に力を入れる投げ方で「真っすぐと同じ回転だけど、真っすぐより(球が)来ない。腕の振りが一緒だと奥行きが出るので、それを意識してやっている」と習得に励んでいる。
変化球向上の下地となるのが握力強化だ。握力は30キロ後半で、「僕、本当に弱いんです」と苦笑い。昨季までは握力の影響もあり、スライダーが抜ける場面が多かった。切れを増すために、5キロの重いボールを指先で繰り返しつかむ地道なトレーニングも積んでおり「最近はしっかり球に圧力がかかっているのを感じるので、成果が出ていると思う」と手応えをにじませる。
この日は約30人と多くの報道陣が集まり、開幕投手の注目度をうかがわせる。開幕投手の先輩・伊藤からは「さすが、開幕投手は違うな~」と愛のあるイジりがあった。一方で、「最初に投げるだけだから」と真剣なアドバイスも受け「そういう意識でいけばいいのかな」と金村。多くの先輩に支えられ、若き右腕は開幕マウンドに立つ。(田中 健人)