◇大相撲初場所3日目(2025年1月14日 両国国技館)
綱獲りを狙う大関・琴桜がくせ者の翔猿に土俵際の引き落としに敗れ、連敗を喫した。15日制が定着した1949年夏場所以降に誕生した33人の横綱のうち、3日目までに2敗はおらず、5日目までに2敗して昇進したのは第46代の朝潮(最終成績13勝2敗)ただ1人。厳しい状況に追い込まれた。同じく綱獲りを目指す豊昇龍は若隆景を突き出しで全勝をキープ。横綱・照ノ富士は霧島を寄り切り2勝1敗とした。
琴桜にとって序盤での連敗は相当なショックだったのだろう。いつもなら風呂から上がると支度部屋の奥に座るが、この日は入り口近くに腰を下ろした。そしてじっと目を閉じ、唇をかみしめた。報道陣の質問には「切り替えます」と吐き捨てるように答えただけで、その後は無言を貫いた。最近6場所全勝だった翔猿相手に、立ち合いは踏み込んで左小手で抱えて前へ出た。だが詰めが甘く、左腕を手繰られて引き落とされ、土俵下に転がり落ちた。
八角理事長(元横綱・北勝海)は「これが横綱になるということ。精神的に弱い。これも修業のうちだ。開き直るしかない」と辛口のエール。昇進問題を預かる審判部の高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は「(綱獲りが)途切れたわけではない。明日からが大事。周りを倒して引きずり降ろせばいい」と望みをつないでほしいと願った。3日目までで2敗して昇進した横綱はいない。いばらの道だが、諦めずに進むしかない。