俳優の船越英一郎(64)が15日、フジテレビ「ぽかぽか」(月~金曜前11・50)にゲストとして生出演。忘れられない衝撃事件を明かした。
船越は忘れられない衝撃事件として「NG理由が分からず土下座」をしたと告白。それは名優・若山富三郎さん(1992年死去)と共演した際だったと言い、「若山さん演じる弁護士に、僕は若手の弁護士で、大至急大事な書類を届けないといけないシーンだったんです」と振り返った。
「先生(若山さん)は自分にも厳しいし、もちろん僕らにも厳しい方ですから、汗シュッシュって着けるんじゃ許してくれないだろうから、一生懸命走って大汗かいて」演技。「書類もね、なかなか取り出せないと大変だから、すぐに出せるようなところに入れて、準備万端にしてウワーっと走って行って“はい先生、持って来ました”」との熱演を見せたという。
監督からも無事「OK」が出たものの、若山さんからは「あかん、もう1回や」との一言が。「ボン(坊ちゃん)の芝居や」と言われただけだったが、船越は「そこから30テイクはやりました」と振り返り、MCの「ハライチ」澤部佑は「書類持ってくるだけのシーンで?」と仰天した。
そこからどんどん日も暮れて行ったと言い、スタッフからは「きょうはもう撮れねえな」とのぼやきが。船越は「僕まだ俳優になったばっかりですよ。3年もたってない」時期だったとし「どうしよう、どうしよう、もうダメだってことで土下座をした」と回顧した。
「先生すいません、どこが悪いか教えてください。全く分かりません」と懇願すると、若山さんは「お前が持ってくる書類はどんな書類や」と質問。「大事な書類です」と伝えると、「なんでそんな大事な書類がカバンからポンポンポンポン簡単に出るねん。大事な書類やったらカバンの奥の方にしまうやろ!」と言い放たれたとした。
さらに「お前はまだ3年もたたんうちに、段取りだけの、そんなつまらん芝居をしやがって!お前の芝居には魂がないんじゃ!」と怒られたと言い、船越は「目からうろこなんてもんじゃないですよ。涙ボロボロですよ。“ありがとうございます”って」と回想した。
そうして再度撮影すると「今度はね、書類が出ないように一番奥の方にしまって、ウワーって走って“先生、持ってきました!これです”」。アドバイスを生かした演技で監督からも「OK」が出たが、若山さんの反応は「あかん、もう1回や」と変わることがなかったとした。
船越さんは「すぐ土下座」と再び理由を問いかけ、若山さんからは「時間がかかりすぎや」と厳し過ぎる一言が。さらに「お前の芝居には魂が宿った。最初の芝居に戻せ」とのアドバイスがあったという。
船越は「そのためだけに30テイクの時間をかけてた。周りも巻き込んで」と証言し、「でも僕は一生墓場まで持って行く教訓をいただいたわけです。そこまでしてくれた方でした。今そんな環境もね、そんなことやったら僕らもくびになっちゃうもんね」と感謝していた。